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キングオブコント王者ビスブラに見る「賞レースで食い込むコツ」とは?元R-1ファイナリストが指摘

『キングオブコント2022』が、8日に放送された『お笑いの日2022』(TBS)内で行われ、ビスケットブラザーズが15代目王者となりました。 【キングオブコント2022・ほかの記事はこちら】⇒松本人志「演技力がないと…」キングオブコント評がすべて/元R-1ファイナリストが解説 【キングオブコント2021・関連記事はこちら】⇒キングオブコント王者・空気階段のラジオは最高です!
(画像:キングオブコント公式サイトより)

(画像:キングオブコント公式サイトより)

 3018組の頂点に立ったビスケットブラザーズは、ファーストステージで2位と11点差を大きくつけて引き離し、ファイナルステージでも482点を叩き出し、2位のコットンの474点との点差をあけたまま、悠々と王者への階段を駆け上りました。  そんな圧倒的強さをみせたビスケットブラザーズの勝ちネタの初見時にくらった衝撃を<電車に乗りながら、準決勝の配信をスマホで見ていました。ビスケットブラザーズが最終決戦で披露したネタで、フミコがダイスケになった瞬間、あまりの恐怖に「ヒャッ!」と大きな声を上げてしまいました(笑)>と語るのは、構成作家の大輪貴史(おおわ たかふみ)さんです。  大輪さんは、かつてピン芸人「大輪教授」として活動し、2007年にはR-1ファイナリストに選出されました。現在はお笑い養成所の講師や、複数のお笑い事務所による若手芸人のネタ見せもつとめる大輪さんに、栄冠を手にしたビスケットブラザーズの勝因や賞レースで上位に食い込むコツについてうかがいました。

優勝のビスケットブラザーズ「自分に似合っている役」を選び切った

――優勝したビスケットブラザーズのネタはいかがでしたでしょうか? <1本目の「野犬」のコントは、原田さん演じる変態的ヒーローのキャラクターが、どこでどんな活躍をするかが、まずは大事なところです。 漫画やヒーロー物のドラマであれば、街で女性が「きゃー、助けてー!」と叫び、「待てーい!」と颯爽(さっそう)と登場するのだと思います。もしくは、悪い怪人が街を破壊していて「そこまでだー!」など言いながら出てきたり…。 しかし、ビスケットブラザーズは、なぜか野犬。なぜ野犬(笑)。 普通、あのキャラクターを活躍させるのに、野犬に襲われている男性を助けるシチュエーションは、なかなか選びません。そこがプラスに働き、オリジナリティーにつながったのだと思います。 また、このシチュエーションにはメリットがあり、野犬はいるものの街なかではないので、第3者を登場させる必要がなく、2人っきりで展開させることができたのも良かったですね。第3者が出ると、無対象の演技も必要になってきますし、変態は多数で相手するより1対1の方が困る(笑)。 個人的に感動したのは、最後に奨学金の話が出てきますが、序盤に話題に出た大学が真実として回収されているところでした。大学はボケじゃなかった。 とにかく、原田さんの見た目・声・演技・キャラクター、すべてが似合っていた、ハマり役でした。コントは、台本や演技ももちろん大事ですが、もっと大事なのは、「自分に似合っている役」を選び切ることだと、改めて感じました。>(大輪貴史さん 以下山カッコ内は同じ)

こんなコント、観たことがない!衝撃作でファイナルステージ突破

<そして2本目の「ぴったり」。 大会直後、ビスケットブラザーズのYouTubeチャンネルに「野犬」と「ぴったり」、披露した2本のネタ動画がアップされていました。あのコントのタイトル、「ぴったり」って言うんですね。 きんさん扮(ふん)するキミカに「ぴったり」の彼氏を紹介するから「ぴったり」。…そこ(笑)? 考えてみれば「野犬」も主役は「野犬」じゃない(笑)! 話がそれました。 正直、こんなコント、観たことありません。 衝撃を受けました。 よくよく冷静になりもう一度観てみると、観客の笑いを引き出しているのは、ダイスケではなくキミカの方になっています。「友だちは今、たった1人減りました」「(バイト先の変な人は)フミコがダントツトップを走ってます」といった具合です。 このコントのキモは、あのダイスケと会話ができているキミカの器の大きさでした。「もう1度フミコと話がしたい」というセリフは、実はメチャクチャ異常で、普通の芸人だったら通せるモノではないと思うのですが、これを通せているんです! 2人のキャラクターや雰囲気のなせる技ですし、これを疑問に思わないほど、我々は想像以上に異常な世界に連れて来られていたのです。 若手芸人がネタでスベるときは、この逆の現象がよく起こります。本人は面白いことを言っているつもりだし、意味合いを聞くと「なるほど、面白い」と思えることもあるのですが、実はそのセリフが通せる世界に観客を連れて行けていない。 逆に、連れていく作業を丁寧にしすぎてしまうと、無駄に長いネタになってしまったり…。 実は、ビスケットブラザーズは、すごいスピードでそのうえ丁寧に、我々を異常な世界に連れて行ってくれていたのです。>
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Twitterトレンド入りした吉住&岡野の2本目とは
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