子どもは自然と食べません!「世界一役に立たない育児書」に思わずクスリ。著者を取材
「3歳児神話」「スマホ育児」は“新解釈”を紹介
――「3歳児神話」や、「スマホ育児」の新解釈も面白かったのですが、書くときはどんなことに配慮したのでしょうか?
かねもと:「子どもは3歳までは母親の手で育てないと,子どものその後の成長に悪影響を及ぼす」といった「3歳児神話」は厚生労働省のホームページ(平成10年版 厚生白書)でも否定されています。かなり昔の研究結果ですし、よく読むと「母親に限らず特定の保護者がずっと一緒にいてくれればいい」くらいのニュアンスだったりするんです。
でもそれが今も「子どもは3歳までお母さんと一緒にいないとダメ」みたいな脅し文句として使われているところがあります。だから私が書いたように「3歳くらいまでの子どものかわいさ、神話じゃない?」というような意味になればいいなという願いを込めました。
「スマホ育児」についての項目は、「子どもにスマホは絶対ダメ」という考えの方の人にとっては、私の書いた内容は、「スマホOK」という主張が強いと感じられるかもしれません。でも今は小学校でタブレットを使って授業をしたり、早い子はスマホを使って友達とコミュニケーションをとったりする時代です。だったら「小さい頃から親が使い方を教えておいたほうがいいのでは」と思います。
育児で「ラクしようとするな」という風潮に思うこと
――スマホに関しては、上の世代からの批判が特に強いかもしれません。
かねもと:昔はテレビやゲームが批判された時代があったと思います。親世代が新しいものの使い方がよく分からないから、子どもに頭ごなしに「ダメ」と言ってしまう、それが今はスマホなのだと思います。
心配な気持ちは分かるのですが、「本当にスマホは悪者なのかな?」という疑問が私の中にあったのと、今まで育児においてスマホをかばうような記事を見たことがなかったのでぜひ書きたいと思いました。
何事もやらせ過ぎは良くないと思うのですが、それはスマホも勉強もスポーツも同じだと思います。使う時間を守ったり、適度に使えば大丈夫ではないでしょうか。
それなのに、以前小児科で「スマホに子守りをさせないで!」というポスターが貼ってあるのを見たんです。私自身「そんなこと言わないでよ」と思ったし、コロナ禍でスマホやタブレットに頼ることが多い中、あれを見た親御さんはツラくてしょうがなかったんじゃないかと思いました。
――子育てでは「ラクしようとするな」という圧力を感じることがあります。
かねもと:粉ミルクを使うことを「ラクをしている」と言われたりします。粉ミルクは毎回哺乳瓶を消毒したりして作るのが大変だし、後片付けもあるし、全然ラクじゃないのですが、そもそもラクをしたとして何がいけないんでしょうか?洗濯を手洗いではなく洗濯機を使っても何も言われないような時代だし、他の家事もどんどんラクになってきているのに、育児だけは責められがちです。
育児をしていると、小児科のポスターや育児雑誌の見出しなど、遠回しに責められているように感じる文面に遭遇するのを避けられません。それを真に受けたり、「今日も動画ばかり見せちゃった」と自分を責めるよりは、子どもと一緒にスマホやタブレットの使い方を楽しく勉強したほうが有意義ではないかと思っています。
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<取材・文/都田ミツコ>都田ミツコ
ライター、編集者。1982年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。主に子育て、教育、女性のキャリア、などをテーマに企業や専門家、著名人インタビューを行う。「日経xwoman」「女子SPA!」「東洋経済オンライン」などで執筆。
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