「他にも起きている人がいる」と思えるだけで救われる
――かねもとさんは、夜泣きの赤ちゃんを抱えるママが集うLINEオープンチャット「オンライン夜泣き小屋」の運営をされていました(※現在は別の方が管理人を務めています)。ご自身のツラかった体験から取り組みを始めたのでしょうか?
かねもと:子どもの夜泣きで寝られないときに「今起きている人いそうだな」「誰かと話したいな」と思って運営を始めました。寝かしつけをしているときは誰とも話せないし、自分が赤ちゃんに対して全責任を負っているという孤独感があって「誰かと話したい」と強く思っていました。でも最初は、あれほど反響があるとは思いませんでした。
――チャットで印象深かったことはありますか?
かねもと:チャットなので、「(子どもが)寝ない」と一言呟くだけで、夜中の何時でもすぐに既読が付くんです。返信がなくても既読が付くことで「私の他にも起きている人がいるんだ」と実感できる。それはTwitterにもない機能なので、ひとりぼっちで深夜の寝かしつけをする親御さんたちは随分救われるだろうなと思いました。
会話の内容は基本的に悩み相談が多いのですが、育児に関係のない芸能人や「推し」の話をしているのを見るのも楽しくて「息抜きになれば、話題は何でもいいんだよね」と思っていました。
――運営してみてどうでしたか?
かねもと:夜泣きの世話をするママたちが実際に集まることは、セキュリティや立地の面から現実的には難しいと思います。だからこそ、こういったオープンチャットに反響があったのだと思います。
オンライン夜泣き小屋だけでなく、オープンチャットには他にもたくさんの育児をテーマとしたトークルームがあります。それだけ、みなさん誰かと話したいんですよね。『夜泣き小屋』のような漫画をSNSで発表するといつも大きな反響をいただくのですが、「誰かに話を聞いてほしい」と思っている親御さんたちが多いのでしょう。
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<取材・文/都田ミツコ>
都田ミツコ
ライター、編集者。1982年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。主に子育て、教育、女性のキャリア、などをテーマに企業や専門家、著名人インタビューを行う。「日経xwoman」「女子SPA!」「東洋経済オンライン」などで執筆。