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夫の暴力で心を病んでしまった45歳女性。それでも「絶対に離婚できない」理由とは

それでも離婚できない理由

 ルカさんは、すぐにでも離婚したくて準備をしようとしたし、相談した友達からも離婚をすすめられた。しかし、よくよく考えた結果、離婚を踏みとどまり、娘が成人するまではこのままの状態を保とうと結論を出した。経済的なことが大きな理由だった。 「日本では、妻が子供をひきとって離婚すると、養育費を支払わなくなる男性が圧倒的に多いんです。裁判を起こしたりしても、結局のところしっかり払えてもらえなくて泣き寝入りの女性が多いと、離婚の専門家からも聞きました。 そうなると、私の収入では、娘を育てられません。シングルマザー支援金なども調べましたが、支援金と私の収入だけでは到底大学を出してあげられません。それなら、高収入の夫と婚姻関係を保つしかないなという結論に至りました」 手をつない出歩く母と娘「そのあとも、警察の人たちと何度も話しました。担当の方が私の身を心配してくれて、“法テラスに相談してみては?”と言ってくれました。でも、法テラスでは離婚を希望する女性への意見しかもらえないので、私は当てはまらないんです。 また、夫のDVから逃げるために、娘とシェルターに入ることも検討しましたが、そうするとシェルター内で暮らすしかないので、娘は今の学校に通えなくなります。私も仕事ができなくなります。これだと未来への準備が何もできないんです」

苦しさを紛らわせたくて、お酒が止められない

「やはりもう、なるべくDVを受けないように自分らしさを封じ込めて暮らしながら、少しずつ離婚資金を貯めていくしかないと考えました。夫は娘には暴力をふるいませんが、かなり抑圧的。スマホはくまなく使用制限をするし、誰とどんなLINEをしているかは全部チェックします。私には毎日のように“このくそ野郎”とか“死んじまえ”など言ってきます。強烈なモラハラです。そんな苦しさを紛らわせたくて、お酒が止められないのかも知れませんね」  振り返ってみると、母乳を終えてお酒を再開してからというもの、1日も休肝日はなく、延々と飲み続けている。そして半年前のある日突然、幻聴と幻覚に襲われたというわけだ。
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“あれ……これ、現実? 夢?”
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