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瑛人「香水」のタイ語版が出た…。聞いてみたら「イケるんじゃない?」と思ったワケ

シンプルなコード進行は“バズりやすい”

 もう少し具体的な話をすると、曲を通して全部同じコード進行なのも強みです。(A♭→B♭→E♭)×2、A♭→B♭→G7→Cm7 A♭→B♭→E♭ この組み合わせの8小節を繰り返すだけの構造になっています。同じコード進行の中で、歌詞の盛り上がりに合わせてメロディを動かす。それが曲のトーンを作っているわけですね。  超シンプルな構造は、“歌ってみた”系動画がネットでバズるうえでアドバンテージとなります。覚えるコードが少なくて済むので、楽器初心者でも挑戦しやすい。間口が広くなるからです。  イギリスのシンガーソングライター、エド・シーランもこの作風を得意にしています。タイでもこのシンプルさはウケるでしょう。四の五の言わずにとりあえずやってみたい気持ちにさせる曲なのです。

アコースティックギターでしか出せない空気感

 最後にアコースティックギターだけのアレンジにも触れたいと思います。  筆者が「香水」のMVを見たとき、すぐに思い出したのがアメリカのハードロックバンド、エクストリームの「More Than Words」でした。右手の親指で弦をカチっと鳴らしてリズムを取る弾き方と、アコースティックギターでしか出せない親密な空気がそっくりなのですね。  ギターのラフでカジュアルな魅力が、“ドールチェアーンドガッバーナ~”のユーモラスな響きを増幅させたのではないでしょうか。もちろん、タイ語バージョンでもこのアレンジは効いています。  以上の3点から、誰にでもアクセスしやすい曲であることを考察しました。たとえるなら、ユニバーサルデザイン的なわかりやすさ。なのでタイでも勝機はあり、と見ます。  果たして「香水」は令和の「上を向いて歩こう」や「北国の春」となれるのでしょうか? 注目していきましょう。 <文/石黒隆之>
石黒隆之
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。いつかストリートピアノで「お富さん」(春日八郎)を弾きたい。Twitter: @TakayukiIshigu4
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