赤ちゃんのおしり丸出しでピクニック?ディープな“自然派ママ”の仲間だった私が黒歴史を語る
「元・自然派ママ」だったことを「黒歴史」と語るMさん。食生活や、日常のお世話事情について、続けて話を聞いていこう。巷で「自然派ママ」が話題になる際は、「市販のお菓子を与えない」という点がよくクローズアップされるが、Mさんも「それは当然」と言う。
【自然派ママの沼・前編を読む】⇒子どもにワクチン打たせない、薬も飲ませない…“自然派育児”をするママの沼
「私は不器用なので頻繁にはできませんでしたが、それでもなんとかがんばって米粉やオートミールを使ったお菓子を作っていましたね。自然な甘みが楽しめて手軽な干し芋も、自然派ママ界隈では大人気。市販品でOKなのは、自然食品店で売っているお菓子です。天然果汁を使ったグミも子どもが気に入っていたのでよくリピ買いしてたかな。そんな調子なので、公園などで会う近所のママ友とは微妙に話が合いません。私、マクドナルドとか絶対ダメだと思いこんでましたから」
調味料は自然食品店に出向き、無添加のものを購入。するとそうした店では、講演会、勉強会なども頻繁に開催されてるので、よく参加していたという。過激な発信で知られる、医師の内海聡氏などの講演会やユーザーたちの集いによく通ったという。そこではワクチンのアンケートが行われたり、参加者同士でおすすめ自然派ショップの情報交換をしたり。
「自然派と言えどもみんなスマホは手放さずSNSをやっていますから、情報はネットで入手しますが、それでも自然派カフェや自然派ショップのセミナーやワークショップはいつでも盛況です。やはりみんな、リアルで集って絆を深め、盛り上がりたい気持ちもあるんじゃないでしょうか」
当時のセミナーの写真を見せてもらうと、そこには「パーム油を使用した、乳児にとって最も危ない食品はコレ」と書かれた衝撃的なスライド。ドクロマークとともに表示されている写真は、森永の粉ミルクだ。森永といえば1955年の森永ヒ素ミルク中毒事件(※)だが、食の安全性を問う消費者の視線は、いまだに厳しいようだ。会場には子の健康を守りたい親たちの必死な気持ちと、自然食品ビジネスの思惑、さまざまなものがからみ合う不穏な空間ができあがっていそうだ。
(※)森永ヒ素ミルク中毒事件:森永乳業製の粉ミルクにヒ素が混入し、飲用した乳幼児が死亡したり、ヒ素中毒患者となった毒物混入事件。日本で起きた食の安全性が問われる事件として、今でも言及されることが多々ある。粉ミルクの原料に使われるパーム油の問題とされる成分については、厚生労働省が「現在の科学的知見においては、これまでと同様に日本人における健康への懸念は低いと考えている」と回答している。
自然派の輪はショップで広がる
古典的な粉ミルク否定説
自分が身内が友人が沼ったご体験談を募集中です。当連載における沼とは、科学的根拠のない健康法やマルチ商法、過激なフェムケアや自然派思想など、主に健康問題に関わるものにハマることを示します。お気軽に、山田ノジルnojiruyamada@gmail.com まで、ぜひご連絡ください(お返事に時間を頂戴する場合もあります)。