草彅が日本アカデミー賞・最優秀主演男優賞を受賞した映画『ミッドナイトスワン』で演じた、トランスジェンダーの女性もそうでした。自分の死に直面した人物も、家族の死に直面した人物も、
どんな設定の人物も、草彅が演じるとあまりにも自然に、まるで目の前にいるように見えてしまうのです。

画像:『ミッドナイトスワン』公式サイトより
演技していることを感じさせない演技。体づくりも、役づくりも徹底していることでも有名ではありますが、何よりもそれを感じさせない表現力が素晴らしい。
自然に、でも印象を残す草彅の存在感は、『拾われた男』でも健在。主人公・諭の人生を、夢と友情や恋を交えてどちらかといえば前向きに展開してきた本作ですが、草彅の登場によってぐっと物語が引き締まったように感じました。
草彅は2023年の1月クールには『銭の戦争』『嘘の戦争』に続く戦争シリーズ第3弾『罠の戦争』(カンテレ・フジテレビ系)での主演も控えており、また彼の“自然”が観られると思うと楽しみでなりません!
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ドラマというと主演や若手に注目が集まりがちですが、やはり圧倒的な実力をもつベテラン勢の存在があってこそ、物語に深みが出るというものです。キャリアに関わらず、作品に真摯に向かい続ける俳優陣に敬意をもって、秋ドラマを最後まで楽しみたいと思います。
<文/鈴木まこと(tricle.llc)>
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