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自閉スペクトラム症の息子が「お母さんってすごい!!」感動したわけは。やさしい世界に癒される<漫画>

「絶対に看護師にはならないぞ」と思っていた

――まゆんさんが看護師を目指したきっかけは何だったのでしょうか? まゆんさん(以下、まゆん):母に「手に職をつけた方がいい」と小さい頃から言われていたのですが、小さい頃に読んだ本に、看護師の仕事が「汚い、きつい、危険(※昔言われていたいわゆる3K労働)」と書いてあったので「絶対看護師にはならないぞ」と思っていました(笑)。 元々は漫画家を目指していたのですが、中学校の進路指導の先生が「看護師から漫画家になった人がいるぞ」と言って『おたんこナース』(小学館/漫画:佐々木倫子、原案・取材:小林光恵)を渡してきたんです(※編集部注:まゆんさんは後になって、元看護師さんなのは漫画家さんでなく原案者さんだと知ったそうです)。 私は「そんなパターンはほとんどないだろう」と思ったんですけど、現実的に考えて手に職を付けた方がいいし、当時は漫画を描くための道具がすごく高価だったのでお金を貯めないといけないと思いました。職業体験で看護師を体験した上で「嫌いじゃないかも」と思ったので、看護師になってから漫画家になろうと思って進路を決めました
「おたんこナース」

「おたんこナース (1)」(ビッグコミックス)

――最近、長年勤めていた病院を退職したことを描かれていましたが、シングルマザーとしての転職は勇気がいったのではないでしょうか。 まゆん:シングルマザーだから家から遠いところに勤められないし簡単に転職できないと思って何年も悩んでいました。でも考える余裕がなくなるくらい切羽詰まってきたので思い切って辞めました。かなり辛い環境だったので、今は他のスタッフも大勢辞めて元の職場は大変なことになっているようです。

相談というのは、自分の気持ちを整理する場なのかも

――転職について、ご家族に相談されたりしたのでしょうか。 まゆん:母は私が時々愚痴を言うのを一生懸命聞いてくれました。でも何も言ってこなかったので、辞めてから「毎日ため息ばかりでこっちまで参るかと思った」と言われてびっくりしました。私自身が決めるまで見守ってくれていたんだと思います。 ――太郎くんはどう思っていたのでしょうか? まゆん:「今日眠れた?」と聞いてきたりして、私が眠れていないことに気づいていたようです。知らないうちに私のことを観察していたんだなと思いました。家族が心配してくれていたことが分かって「転職してよかった」と思いました。 ――まゆんさんは辛い時はどうやって気持ちを切り替えていますか? まゆん:一番いいのは環境を変えることだと思うんですけど、なかなか難しいと思います。やはり本当に信頼できる人に相談するのがいいと思います。 私の場合は母に話すことが多いです。相談というより、自分の意見を聞いてもらっているうちに「私はこんなこと思っていたんだ」と気づくことがあります。相談というのは、自分の気持ちを整理する場なのかもしれません。そういう意味でも人と話すことは大事だと思います。
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描いていて自分でもほっこりしている
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