――太郎くんの描いた絵が書籍に収録されていますが、すごく可愛くて個性的ですね。絵が好きなのはまゆんさんの影響なのでしょうか?
まゆん:私の影響ではなくて、ゲームが好きでずっとやっているので目を休ませるために絵を描かせるようになったんです。「どこからこの発想がくるの?」と思うような絵ばかりで好きなんです。色は水彩で、私が太郎に指定されて塗ったり本人が塗ったところもあります。
――まゆんさんの作品を読んでいると、捉え方次第でこんなに世界が変わって見えるんだと思います。
まゆん:
それが私が伝えたいところなんです。暗いことが多い世の中だし、いじめとか不倫とかをテーマにした作品が最近はすごく多くて、それを伝えることも大切だと思うのですが読んでいて辛くなってしまうんです。だから自分が明るい気持ちでいるためにも明るい方へ向かうものを描いていきたいというのがポリシーです。
描いていて自分でもほっこりしているし、読者の方にもそういう気持ちになってもらいたいと思っています。
――読者からはどんな反応がありましたか?
まゆん:「すごく癒される」「本当に励みになっています」とか、顔も知らないフォロワーさん達からメッセージをいただいて、感動しています。「自分の子どもに診断名を伝える勇気が出ました」とDMを下さった方がいたり、出産された方が赤ちゃんの写真を送ってくれたり、お母さま達の応援や喜びの声が一番励みになっています。「力になれているんだな」と感じて嬉しいですね。
――これから太郎くんの成長をどう見守っていきたいと思いますか?
まゆん:これからは見守るというより、高校進学や就職などの壁にどんどんぶつかっていかなければならないと思っています。2人とも初めてのことだし、今は選択肢が広がっているとはいえ日本全体が厳しいという大きな問題もあります。
二人三脚で進みながら、太郎と一緒に成長していきたいと思っています。
――これからの作品のテーマとして、例えば看護師のお仕事を描く予定はあるのでしょうか?
まゆん:ナース漫画は、患者さんの情報の守秘義務があるので難しいかなと思います。それを避けるためにはフィクションにしないといけないと思うんですが、創作漫画が苦手なんです。描きたいエピソードはいっぱいあるので、何らかの形で描ければいいなと思います。
――では、これからどんなことを作品にしたいと思いますか?
まゆん:私が漫画に描きたいテーマは大きくいうと、人の気持ちの真相や人の心の動きを細かく知りたいというのがあるんです。「どうしてこう思うんだろう」「私は今こう感じているんだ」という心の動きを常に描いていきたいです。
もちろん、これからも家族のことは描くのですが、社会問題や、生きる中で理不尽なこと、「これおかしくない?」と思うことについて、マイナスに捉えていることを柔らかく描けたらいいなと思っています。
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なんて深いの!発達障害の息子・太郎くんの“素直なひとこと”が刺さる<漫画>
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発達障害の息子が、アスパラベーコン巻きで“フリーズ”した意外な理由とは?作者を取材<漫画>
【まゆん】
看護師でありシングルマザー。自閉スペクトラム症で特別支援級に在籍する息子の太郎くんとの日常や、心に残った出来事を漫画にして配信している。「ウォーカープラス」「LITALICO発達ナビ」などで不定期で漫画を発表。著書に『
自閉スペクトラム症の太郎とやさしい世界』(KADOKAWA)。Twitter:
@mayun4311、Instagram:
@mayun4311
<取材・文/都田ミツコ 漫画/まゆん>
都田ミツコ
ライター、編集者。1982年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。主に子育て、教育、女性のキャリア、などをテーマに企業や専門家、著名人インタビューを行う。「日経xwoman」「女子SPA!」「東洋経済オンライン」などで執筆。