大ブレイクの松本若菜、38歳の現在地「ずっと仕事がしたくて仕方なかった」
昨年、ドラマ『やんごとなき一族』(フジテレビ)で「松本劇場」なるワードを生み、改めてその美貌と演技力に注目が集まっている松本若菜さん(38)。今年もすでに話題作『夕暮れに、手をつなぐ』『探偵ロマンス』に出演、そしてスクリーンでは、急性骨髄性白血病となり骨髄移植を経験した俳優の樋口大悟さん自らが企画・原案・主演を務める映画『みんな生きている ~二つ目の誕生日~』で、ドナーとなる女性・美智子を演じています。
出演オファーに、実は「即決ではなかった」と明かす松本さんに話を聞きました。また、デビュー作『仮面ライダー電王』(2007)の頃から変わらぬ美しさの松本さんに、「年齢を重ねることへの実感」についても直撃しました。
――大介役で主演の樋口さんが、ご自身の体験を基にしていることはもちろん、松本さん演じるドナー側の立場を丁寧に描いているのも印象的な作品です。出演は即決でしたか?
松本若菜さん(以下、松本)「いえ、即決ではなかったです。樋口さんは実際に体験をされていて、フィクションとノンフィクションが混ざり合った話になっているわけですが、私はフィクション側のキャラクターになります。そこで、ひとりの人間として、偽善者には見られたくありませんでした。演じることに悩みがあったのが正直なところです。
でもプロットを拝見して、人づてにですが、樋口さんと両沢(和幸)監督の作品への熱い思いを知りました。そして私たちの仕事ってなんだろうと考えたときに、人に伝えるという、ひとつのツールでもあるなと思ったんです。そうした形で参加できるのであれば協力させてくださいと心を決めました」
――確かに、骨髄移植のドナーと聞くと、“いい人”と浮かびがちで、さらに“偽善者”へと繋がりがちです。でも本作を拝見して、彼女を見て、子育てしている個人としての姿などから素晴らしい人であることは伝わりますが、決して聖人ではなく、「自分の行為で誰かの命が助かるなら」というとてもシンプルな考え方の持ち主で素敵でしたし、だからこそ響きました。
松本「ありがとうございます。まさに私たちもそこをひとつのテーマとして思っていました。聖人には見せたくない、ひとりの女性の生き方のひとつとして描きたいと。なので、そうおっしゃっていただいて、すごく嬉しいです」
――そして、やはり白血病を発症して実際に骨髄移植を受け、寛解した俳優さんが主演を務めているというのはすごいことです。樋口さんとは、役柄的に共演シーンはほぼありませんけれど、直接お話を聞くお時間はありましたか?
松本「顔合わせ兼衣装合わせの時に初めてお会いしました。そのときに1から10までお話してくださいました。この企画をどうやって実現させていったのか、今日にいたるまでの思いや行動、当時のことも、その場で、本当に泣きながら教えてくださいました。本編にも登場しますが、実際に移植を受けたときの感覚もお聞きしました。
すごくリアルでしたし、樋口さんは、そうやって助かって、今こうして映画を作って人に伝えようとしているんだなと。思いの強さもですが、単純にひとりの人間として『すごい』と思いました」
偽善者には見られたくなかった
樋口さんの話はすごくリアルだった
1
2
『みんな生きている ~二つ目の誕生日~』は新宿K’s cinemaほか全国順次公開中