古着店でエルメスのシャツと出会った。「以前、愛されていたもの」とも呼ぶ古着、その魅力
『わたし史上最高のおしゃれになる!』『お金をかけずにシックなおしゃれ』などの著書があるファッションブロガー小林直子さんが、愛用しているアイテムをご紹介します。
10年ぐらい前からでしょうか。中古品の服、靴、バッグを売ったり、買ったりするお店がふえてきました。私が今住んでいるエリアでも、徒歩圏内に4店舗もあります。それほど多くの人が要らなくなったものを売ったり、買ったりしているということでしょう。
こういったお店や、あるいはメルカリのようなフリマアプリが出現する以前、サイズが合わないとか、着てみたらやっぱりなんか違ったなどの理由で要らなくなった、まだ着られる服、まだ履ける靴、まだ使えるバッグはどうしていただろうかと思い起こしてみると、私の場合、捨てずにとっておく、ということが多かったと記憶しています。
そんな、とっておいたものを初めて他人に売ってみたのは20年ほど前のことです。文化服装学院時代、同じクラスだった友達に誘われて、フリーマーケットに参加しました。なんでも彼女はフリーマーケットで、学生時代に課題として作った自分の作品まで売ったとのことでした。
それならば、私がとっておいた、諸々の事情によりもう着ない服もきっと売れるに違いない。そう予想したとおり、川崎駅前の広場で行われたフリーマーケットで、私が持っていったもののほとんどは売れてしまいました。
それから月日は流れ、フリーマーケットも以前ほど見なくなり、それと入れ替わるようにフリマアプリが登場。また、中古品を扱うお店もふえました。どんな方法であっても、まだ使える要らなくなったものを、ただ捨てるのではなく、再利用するのですから、こんないいことはありません。
そんな中古品を扱うお店に実際に行ってみると、それぞれ特徴があるということがわかります。とにかく質より量で圧倒するお店、ブランドごとに分けて売っているお店、量は少ないけれども、質がよいものを扱っているお店など、さまざまです。
雑然とたくさんの量がラックにぎっしり詰まった玉石混交ショップで掘り出しものを探すのも楽しいですが、かなりの時間と体力、気力が必要となります。しかし、そんな余分な時間と体力、気力がない私は最近、量より質のお店を定期的にチェックするようになりました。
理由は、短時間でさっと見られて、しかも今まで触ったことも、試着してみたこともないような素敵なものが、何食わぬ顔でさらっとラックにかかっていたりするから。敷居は低く、お高くとまっているわけでもなく、涼しい顔で、ごく自然に、すごいものがいきなり出現する。近くにそんなお店があると、昨年気づきました。
すべての基本は定点観測です。定期的に同じところを観測し続けると、小さな変化に気づくことができます。




