いつものように定点観測のためにそのお店を訪れると、遠くからでも光って見えるプリントの服がラックにかかっていることに気づきました。ブランドがどうとかいうことよりも、とにかく光り輝いて見えるのです。
近づいてそっと触ってみると、それはしっとりして滑らかなシルクツイルだということがわかりました。それだけではありません。そのプリントの色出しが素晴らしいのです。何色も使って表現されたウサギや鴨といった、狩猟の獲物がテーマらしいそのプリント生地の服は、まるでシルクのスカーフをそのままシャツに仕立てたようでした。

リサイクルショップで見つけた“プレラブド”のシルクシャツ
これはもしやあれではと、絵柄を見ていくと、裾付近に「HERMÈS―PARIS」とあります。私はエルメスにそれほど詳しくないので知らなかったのですが、エルメスにはスカーフ柄のシャツが定番としてあるようです。

タグを探してみると、日本語のタグはついていません。このシャツは、日本人がお金持ちで、世界中を旅行していた時代、パリを訪れた持ち主がエルメス本店で買ってきたものかもしれません。あるいは、パリへ出張した夫からのプレゼントとか。「もうスカーフはたくさん持っているから、こんどはシャツを買ってきたよ。君の好きなウサギちゃんの柄だったからね!」とか言いながら。このシャツを見ているだけでそんな妄想も広がります。
またこのシャツは中古品ではあるけれども、状態も非常にいい。以前の持ち主がこのシャツを大事に着ていたということも容易に想像できます。
これは私が気軽に定価で買えるようなシャツではありません。ついていた値段は、多分買った当時の10分の1ぐらい。ちょっと高級なシルクのシャツぐらいの値段でした。