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木村拓哉が信長役にピッタリハマる理由。『レジェンド&バタフライ』から読み解く

『レジェンド&バタフライ』が2023年1月27日の公開から17日間で動員129万人、興行収入16億円を突破するヒットとなっている。
©2023「THE LEGEND & BUTTERFLY」製作委員会

©2023「THE LEGEND & BUTTERFLY」製作委員会

 とはいえ、東映70周年記念作品かつ、総製作費20億円のビッグプロジェクトであることを考えれば「まだまだこれから」。さらなる伸びを期待したいところだ。  本作の目玉は木村拓哉が織田信長を、綾瀬はるかが正室・濃姫を演じており、「この2人がいてこその映画」だと思えたことだ。その理由を記していこう。

まず「俺様キャラ」的なイメージが信長にピッタリ

 木村拓哉は「何をやってもキムタク」と、どちらかと言えばネガティブな意味で言われがちではあった。しかし、裏を返して言えば、それは人間および俳優としての個性が強い証拠でもあり、「キムタクらしさ」こそが、他の誰にもなし得ないキャラクターとして魅力的に映る場合も多いのではないか。  あえて俗っぽい言い方をすれば、木村拓哉には「俺様キャラ」的なイメージもある。それは織田信長というもっとも有名な戦国武将、端的に言ってカリスマ性が求められる役には、その時点で多くの人がピッタリだと思えるだろう。

「虚勢を張っている」印象にもハマる

 加えて、今回の織田信長は「虚勢を張っている」ような印象も重要だった。例えば、映画の序盤で「初夜」を迎える前の男同士の下品な馴れ合いに「ノリきれていない」ように見えるし、綾瀬はるか演じる濃姫への尊大な態度も「仕方なく」やっているようだった。  その他、劇中の織田信長はけっこう情けない、コミカルな姿も見せる。濃姫の勝気な言い方と渡り合うかと思えば気圧されている場面もあるし、その直後には腕っぷしで負ける始末。獲物を狙う勝負をする場面での「あっ」という気が抜けた声にも笑ってしまうし、その後も濃姫との掛け合いが夫婦漫才のように見えたりもして面白い。  ちなみに、初夜を迎える場面での織田信長は16歳、濃姫は15歳である。さすがに木村拓哉と綾瀬はるかがその年齢には見えない、というのが正直なところではあるが、それでもお互いの「子供のような言い合い」への説得力は十分で、2人の俳優としての力を最初に思い知らされる場面だった。
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「スターゆえの孤独」というイメージ
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