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鈴木亮平の“ゲイ男性像”が生々しく、美しい。映画『エゴイスト』が描く愛の姿

 あけっぴろげなのに、どこかに強烈な孤独を感じさせる。だからしかるべき相手を求める。そんなゲイ男性のリアルが描かれている。
映画『エゴイスト』より ©︎2023 高山真・小学館/「エゴイスト」製作委員会

映画『エゴイスト』より ©︎2023 高山真・小学館/「エゴイスト」製作委員会

 高山真による自伝的小説を映画化した『エゴイスト』が、2023年2月10日(金)から公開されている。本作で一組の恋人たちを演じるのが、鈴木亮平と宮沢氷魚だ。露骨な性描写とゲイ男性のリアルをここまで描ききった作品が他にあったろうか。 「イケメンと映画」をこよなく愛する筆者・加賀谷健は、鈴木亮平が体現するゲイ男性像に打ちひしがれた。終始、つややかな出で立ちの鈴木が身をもって証明する愛することの“純粋さ”とは? 【関連記事】⇒鈴木亮平&宮沢氷魚、本来なら完璧な見た目のふたりだが/サムソン高橋が見た映画『エゴイスト』

鈴木亮平の完璧さ

エルピス —希望、あるいは災い—

画像:関西テレビ/フジテレビ『エルピス —希望、あるいは災い—』公式サイトより

 鈴木亮平がセクシーで、その大人の色気に思わずメロメロになるという感想をよく耳にする。が、正直なところ、筆者にはあまりピンとこないなと思った。  テレビ局が政治の闇に切り込んだ力作ドラマ『エルピス-希望、あるいは災い-』(関西テレビ・フジテレビ系、2022年、以下、『エルピス』)の反響は大きかっただろう。鈴木亮平が演じたのは、報道局政治部のエリートだった。知的で、いかにも仕事ができそうな佇まい。大きな身体にフィットした上質なスーツを着込んだ姿は、隙のない印象を与え、確かに完璧な出で立ちだと思った。  長澤まさみ演じるアナウンサーとのスキャンダラスな関係性をくぐり抜けるようにして情事を重ねようとする色男ぶりもなかなか。鈴木亮平は、非の打ち所がなく、完璧すぎる。同作によって遅ればせながら、筆者は彼がこんなに折り目正しくもセクシーな俳優なのだと知った。

亮平姉さん、お慕い申し上げます

映画『エゴイスト』©︎2023 高山真・小学館/「エゴイスト」製作委員会『エルピス』以上に驚いたのが、本作『エゴイスト』である。この美しさ、この衝撃、いや衝動的な美しさと言うべきか……。  鈴木が演じる浩輔は、ゲイの男性である。自分のことを疎外した故郷を逃げ出した彼は言う。「服は鎧だ」と。その服のブランドが自分を守ってくれるとも。洗練され、マチュアな雰囲気を身にまとう浩輔は、今は東京でファッション誌の編集者として優雅に暮らしている。  故郷に帰ってきた浩輔が、寂れた町を悠々と闊歩する。横断歩道で待っているとき、向かいでいやしく煙草を吸う男を見て彼は軽蔑の眼差しを向ける。それに対して浩輔の足取りは、エレガントで、しなやかに肩が揺れる。亮平姉さん、お慕い申し上げます……。つい心の中でそう呟きながら、筆者は完全に鈴木亮平から目が離せなくなっている。
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浩輔の昼と夜
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