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止まらない“卵の値上げ”。次は鶏肉も高くなる?! 卵だけじゃない鳥インフルの影響

鳥インフルエンザが落ち着いても、卵の価格は戻らない?

 鶏卵や鶏肉に留まらない物価上昇が今後も予想されそうだが、どの程度で落ち着きを見せるのだろうか。半澤さんは「過去に、これだけの鳥インフルエンザが国内で発生したことはありません。また、近隣の養鶏場が足りていない部分を補って供給していた部分もありましたが、現在ではそうした補填(ほてん)がどの養鶏場さんでもできていない状態です」と予想が難しいと口にする。農林水産省は9日、高病原性が疑われる鳥インフルエンザの発生が過去最大になったと発表しいている。
株式会社半澤鶏卵の3代目後継者・半澤清哉さん

株式会社半澤鶏卵の3代目後継者・半澤清哉さん

「また、仮に鳥インフルエンザが落ち着いたとしても、鶏卵が以前のような価格に戻るとは考えにくいです。飼料やその他のコスト増で、今の段階で元の価格で売って利益が出る養鶏場は全国どこにもありません。鶏卵に限りませんが様々な食材の生産コストのベース自体が上がっており、販売価格自体も上がってくると考えます」  さらには、「鳥インフルエンザが発生した養鶏場が、完全に復活するまでに最低でも1年~1年半かかることが見込まれています。供給量が元通りになるのは、早くても来年の春以降ではないでしょうか。目に見えないウイルスとの闘いですので、本当に深刻な状況です」と答える。

「卵の存在価値や意義を考えるきっかけに」

 現在(2023年3月下旬)の状況はどうなのか。 「鳥インフルエンザの発生は、若干ではありますが落ち着いてきました。回復傾向ではありますが、10月末からはまた鳥インフルエンザの流行時期に差しかかってきてしまいます。  もし今回と同じような規模で発生してしまえばさらに状況が悪化しますし、なんとも断言ができません」と油断しない姿勢を見せる。 「最大限の対策を私たち生産者も取ってはいきますが、見えないウイルスとの闘いでは、『大丈夫』という発言はできません。今回の価格高騰や供給の面で、鶏卵にスポットライトが当たりやすくなっていますので、改めて卵の存在価値や意義を考え直すきっかけになれば嬉しいです」  養鶏場で働く人たちの頑張りによって家計が支えられてきたことがよくわかった。今後も卵や鶏肉を美味しくいただくために、養鶏場の運営については高い関心を持ちたい。 参考:鳥インフルエンザに関する情報(農林水産省) <取材・文/望月悠木>
望月悠木
フリーライター。社会問題やエンタメ、グルメなど幅広い記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。X(旧Twitter):@mochizukiyuuki
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