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「辻希美さん“ママゴト婚”批判にも負けなかった理由」ジェーン・スーが受けた衝撃

――逆に君島十和子さんが実はタフだったり、田中みな実さんがとてもクールだったりと、読みすすめるうちに自分がいままで勝手に持っていた印象が鮮やかに塗り替えることがたびたびありました。スーさんは「イメージが変わった!」という方はいらっしゃいましたか? ジェーン・スー:辻希美さんですね。ご自分の家族や家族といったものに対して、もちろん信頼はしているけれど、でも過剰に期待することはない。そんな強さは、こうしてお話を聞かないと知りようのないことだったと思いますね。 田中さんや君島さん、それから今回は神崎恵さんにもお話を聞きましたが、みなさん自分を知る、よさを引き出すということに神経を集中し、思考を重ねに重ねられている。昔だったら美しいとされる人はその秘訣を訊かれたら「お水を飲んでるだけで、何も特別なことはしていません」と答えていたところを、自分が使っている化粧品から実践している美容法まで、何もかも見せてくれていますよね。どうしたら自分を魅力的に見せられるか、首の傾げ方ひとつ手の動きひとつまで徹底して研究されている。どこまでも追求して更新していく姿がかっこいい!

自分のやりたいポジションにつくために

ジェーン・スー:そう考えると、今回お話した13人の方に共通していたのは、主観と客観の両方をしっかりお持ちになっている点でしたね。 JaneSu202303_1c――山瀬まみさんや北斗晶さんは、「自分に求められているもの」を常に意識し、読み取ったうえで、自分がどう行動するかを判断しているというエピソードが共通していました。 ジェーン・スー:おふたりとも長くテレビの世界で活躍されていますが、どちらも「その番組での座組を見れば、自分が何を求められてるのかわかる」とおっしゃっていましたね。そのポジションについて120%で打ち返すことをくり返していけば、そのうち自分のやりたいことができるポジションにつける――これは特殊能力をもった特別な人たちのお話ではなく、お仕事をしている人なら誰もが参考にできると思うんです。 80%や100%で打ち返すだけでは、都合よく扱われるだけに終わるかもしれない。特に若い女性だと、そうなりやすいですよね。そこを120%で返していくと、次は少しいいポジションがもらえる。そこでも120%で返し……ということを積み重ねていくと、いつしか「私はこのポジションでやりたい」と自分から言える力が備わっていく。自分が動きやすい場が用意されるようにもなります。

騒ぐのではなく、心をつかむ

JaneSu202303_book――期待される役割をこなすというのは受け身の姿勢に見えて、自分次第で攻めの姿勢になるということですね。ただ、日本では長らく主張する女性が歓迎されてこなかったことを考えるとむずかしさも感じました。 ジェーン・スー:いまはSNSで自己主張や自己表現といったことをされる方も多いと思いますが、どれだけ人より目立てるか、という場になっているように見えます。自分の思ったことをそのまま表現するには、練習が必要なんだと思うんですよ。でも私たちは残念なことに、学校や家庭の教育で自分の主張やそれを発信することをそれほど尊重されてこなかった。いきなりやれって言われても、むずかしいですよね。 北斗晶さんは、プロレスラー時代にいかに自己プロデュースをしたかのお話をしてくださいましたが、一瞬目立つだけなら誰でもできるんです。大騒ぎすればいだけだから。そうではなく、人の心を掴むのがむずかしくて、北斗さんはその天才だと思います。また、「逃げるは恥だが役に立つ」「アンナチュラル」など脚本を書かれたドラマが人の心を掴みつづけている野木亜紀子さんのお話も、たくさんのことを教えてくれました。 【インタビュー後編はコチラ!】⇒「どうせ自分なんか」と腐らない方法って?ジェーン・スーさんに聞いてみた <文/三浦ゆえ 撮影/宮田浩史>
三浦ゆえ
編集者&ライター。出版社勤務を経て、独立。女性の性と生をテーマに取材、執筆を行うほか、『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』(宋美玄著、ブックマン社)シリーズをはじめ、『50歳からの性教育』(村瀬幸浩ら著、河出書房新社)、『リエゾン-こどものこころ診療所- 凸凹のためのおとなのこころがまえ』(三木崇弘著、講談社)、『新生児科医・小児科医ふらいと先生の 子育て「これってほんと?」答えます』(西東社)などの編集協力を担当。著書に『となりのセックス』(主婦の友社)、『セックスペディアー平成女子性欲事典ー』(文藝春秋)がある。
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