「どうせ自分なんか」と腐らない方法って?ジェーン・スーさんに聞いてみた
ジェーン・スーさんによるはじめてのインタビューエッセイ『闘いの庭 咲く女 彼女がそこにいる理由』(文藝春秋)には、13人の女性の人生が詰まっている。私たちがメディアで見ると彼女らは「華々しい」と形容するにふさわしい経歴の持ち主だが、実はたくさんの“闘い”があった。「はじめに」から一文を引用する。
「なぜ、自分にはできないと思うのか。うまくいかないときにもめげず、腐らず、頑張った先で花を咲かせた女の話を、ほとんど知らないからではないだろうか」
図書館に伝記本が並んでいたナイチンゲールやくマザー・テレサではなく、いまを生きる女性たちが親しみを感じられる女たちの話を聞き、つづり、一冊にまとめたジェーン・スーさんにお話をうかがう。
【インタビュー前編】⇒田中みな実ら13人の女性に「人生の咲かせ方」をジェーン・スーが直撃。イメージが激変したのは?
――ご登場されたみなさん、胸を開いてお話されている様子が伝わってきました。なかには、ご本人にとって苦い思い出になっているのではないかというお話も出てきましたね。
ジェーン・スー:君島十和子さんが結婚されたときの報道や、辻希美さんのブログ炎上などですかね。君島さんについては私も当時テレビや雑誌で見ていたのでよく覚えていますが、ワイドショーではいまとなってはありえないほど追いかけまわしてプライバシーを侵害したり、ぎょっとするほど辛辣なことを言っていたりしましたね。それを20代で耐えたというのは、本当にすごいことだと思います。
ジェーン・スー:君島さんはそのことを振り返ってお話ししてくださいましたが、無理矢理聞き出したわけではないんです。インタビュー前には過去の雑誌記事を取り寄せるなどして、これまでを下調べしていきましたが、それを察してくれたように思えました。
みなさん、自分からなんでもお話してくださるんですよ。漫画家の一条ゆかりさんも、珠玉のエピソードをあれもこれもとお話してくださって……。
――最終章が一条ゆかりさんでしたが、うきうきお話されている様子が伝わってきました。
ジェーン・スー:ご自宅にお邪魔したのですが、お茶もご自身で淹れてくださって。ご登場いただいた全員が、サービス精神の塊のようでしたね。こちらを緊張させる方はひとりもいらっしゃらなかった。コロナ禍だったということもあり、北斗晶さんだけリモートでお話することになったのですが、画面越しでもこちらがリラックスするよう気を遣ってくださっているのがわかりました。
今回お話をうかがったのはみなさん、人と仕事をして何かを作り上げるお仕事をされる方ばかりなんですよ。私もそんな仕事が多いのでわかるのですが、抜きん出たサービス精神をもち、かつ行動で示してきたからこそ、それぞれのお仕事で自分の居場所を獲得してこられたんだろうと思います。協調性が大事とはよくいわれますが、それって、輪を乱しそうだから自分の意見を言わないとか、人に同調するとか、出しゃばらずに一歩引いた位置にいてサポート役になるとか、そういうことじゃないんだと。一緒にいる人を楽しい気持ちにさせる、不安にさせない……そういうことが協調性につながるのだと感じました。
――13人のお話だけでなく、スーさんがそれをどう受け止め何を感じたかを書かれていることで、ジェーン・スーさんという人の見方や考えをうかがい知ることのできる一冊でもあったと思います。それぞれの方のお話と、ときどきの社会構造のお話をつなげて受け止められているのだなと感じるところも多かったのですが、これは意図されてのことでしょうか?
ジェーン・スー:意識をして書いたわけではないですけど、お話を聞きながら自分に引き寄せて考えると、ここにはこんな構造があったということが浮かんできました。自分の理解を深めるためにやっていたのかもしれないですね。
13人が教えてくれた「協調性」とは
それはまるで社会運動
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