――青木さんが、お子さんを保育園ではなく幼稚園に入れたのはなぜだったのでしょうか?
青木:娘が通っていた幼稚園は自己肯定感を高めることを教育方針にしているところでした。入園先を決めるまでは、仕事をセーブして幼稚園に入れるか、保育園に入れて仕事を中心にやっていくのか、すごく迷いました。私の場合は、ずっと先の未来を考えたときに「ここで幼稚園に入って自分もしっかりと取り組んだほうが得なんじゃないか」と思ったんです。そのために数年間仕事の評価が下がったとしても、50年先を考えたら「絶対にこれしかない」と考えました。今は私にとっては良かったと思っています。娘にとって良かったのかどうかは今の段階ではまだ分からないですけど。
――娘さんの幼稚園時代はどう過ごしていたのでしょうか?
青木:娘の幼稚園では自己肯定感を高めることを大切にしていて、子どものやることに対して「大人から見て良いことも、良くないこともすべてをまずは認める」ということを一貫してやっていました。できたから褒める、できなかったらダメだと言っていると、親に褒められるために大人が喜ぶことをするようになっていく。それでは本当の自己肯定感は育たないという理解です。
月に1回保護者会があって、例えば「誰かが誰かを叩いた」ということについて、なぜその子がそうしたのか、叩かれた子はどう思ったのか、周りで見ていた子は何を言ったのかなどを共有して、親たちが子どもたち一人一人について知る機会になっていました。それを続けるうちに「叩くから悪い子」のような偏見がなくなって、どんな子にも何か理由があると理解できるようになったと思います。
子どものやることをすべて一旦認めることを続けているうちに、自分のことも少しずつ認められるようになり、自分の育て直しをしているような感覚がありました。行動として繰り返すうちに少しずつ自分の中にその考え方が入ってくるようになったんです。
――今の娘さんを見ていて、自己肯定感は高いと思いますか?
青木:基本的にポジティブな発言が多いと思います。自分を表現するときに「超ビジュ(ビジュアル)いい」と言ってみたり(笑)。お友達のことを「この子、親友なんだ」「仲がいいんだ」と普通に言うので、人間関係に自信があるのはすごいと思います。
私は「自分が仲がいいと思っていても相手がどう思っているか分からない」と思ってしまうので、そういう言葉をあまり使わないんです。娘はお友達に対して優しいと思いますし、家にいるよりも「友達と会っていたほうがいい」と言うので、お友達がいっぱいいて良かったなと思います。
――娘さんと会話するときに気をつけていることはありますか?
青木:会話でもLINEでもできるだけ丁寧語で話すようにしています。「今日は何時に帰ってきますか?」という感じですね。
理由は2つあって、1つは「娘の前で丁寧語を使ってくれる人がいるといいな」と思うんですけど、誰もいないので私が使っています。もう1つは、少し距離を取るためでもあります。私はイライラしているときに口調が乱暴になっていきがちなので、それを防ぐために丁寧語で話しています。