そんななか、桜のトンネルを歩いていると、先輩が前方から歩いてきた柄の悪そうな男性とぶつかってしまいます。先輩はランチの場所を探すためにスマホを見ていて、前から人が来ていることに気が付くのが遅れてしまったそう。

「見るからに普通の人ではありませんでした。不良とかそういった感じの、いかにも悪そうな感じの人でした」
先輩は「すみません」と謝りましたが、男性は大声で怒鳴り先輩に詰め寄ります。そして、壁際に先輩を追い詰めて、胸ぐらを掴み、拳を握って手を振り上げました。
「いけない!って思ったら身体が勝手に動いていました」
次の瞬間、鈴香さんが男性の腕を捻りあげて地面に伏せさせていたのです。突然の痛みに男性が悶えている隙に、鈴香さんは先輩の手が離れないようにしっかりと握りしめ走って逃げました。
もう大丈夫だろうというところまで走って逃げて一息ついていると、「君ってすごいんだね」と目を丸くした先輩がぽつりと一言。「いや、それほどでも…」と鈴香さんは誤魔化しますが、二人の間に微妙な空気が流れているのを感じ取ったそう。
「その日は、花見も途中で解散してしまったんです」
また誘うね、と先輩は言ってくれたそうですが、それからなんのお誘いも無くなってしまいました。