85歳、一人暮らしの田村セツコさんに学ぶ「人生をとことん楽しむコツ」
「毎朝起きたら、父、母、妹、先生、友だちと逝ってしまった人たちの名前をひとりずつ呼んでから一日がはじまります」と、イラストレーター、エッセイストの田村セツコさん。『85歳ひとりの暮らし ありあわせがたのしい工夫生活』(興陽館 )の主人公です。「いつのまにか85歳になりました」という田村さんですが、名前を呼ぶことでみんなが今もそばにいるようだと微笑みます。
『りぼん』『なかよし』『マーガレット』『少女クラブ』の表紙などで、誰もが一度は接してきた、可愛らしい少女のイラストそのものの姿。おしゃれで自然体の暮らし方は、まさに私達の憧れ。何歳になってもハッピーに過ごすには、田村さん流のコツがありました。
まず真似したいのが、「朝起きたときに、ラッキーだと思うことを確認する」こと。特に、「あたりまえだと思うことを発見しなきゃいけない」と言います。手足が動く、目が見える、耳も聞こえる、歩けてうれしい、うわーラッキー、という具合。普段、私達は忙しさにかまけて、些細だけれど本当はすごく偉大でよろこばしいことを忘れてしまいます。だからこそ、改めて確認して感謝するのはとても大切かもしれません。
「ありがとう、うれしい」は魔法の言葉だと田村さん。同じ一日を生きるなら、憂鬱よりもハッピーがいいに決まっているし、「ありがとう、うれしい」を唱えれば、自分にもキラキラパウダーがふりかかるかるでしょう。「心配事がほとんど消えていくような気がする」というのは、すでに田村さんの笑顔が実証していますよね。
田村さんの食事も豊かでユニーク。朝食に作るのはオムレツですが、たまねぎやジャコやナッツを混ぜて、サラダも添えて、毎朝違うものを食べるそうです。「アドリブとアレンジが生きがい」という一皿には、リンゴや玄米のおむすびが加わったり、彩も鮮やか。目にも心にも、ときめきがあふれてきます。
気分転換に白衣を着てお料理をすることもあるのだとか。これは田村さん流、お医者さんのコスプレ。お医者さんになったつもりで、「ビタミンが足りないみたい」「甘いものはあんまり食べないで」なんて言いながら、材料や調理方法を決めると、確かに心身によさそうです。小食で、「自分で作ったへんてこで質素な食事」のおかげと白衣の恩恵か、体の調子は上々だそう。
夕方5時を過ぎたら、お酒をちょこっと。カラフルな一皿とワインや日本酒をグラス1杯。特別なもの食べ物も、高価な飲み物もないけれど、楽しさとおいしささえあればいいのです。自画自賛してエンジョイする、これも田村さん流です。
田村さんのモーニングルーティン
朝食は毎日違うものを食べる
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