
それからは保育園で顔を合わせる度に、Aさんは奈美さんに微笑みながら、意味ありげに目配せしてくるようになりました。
「クラス懇談会では、Aさんは私の近くに座り、私が進行している間、何度も大きく頷いたり、『へー』と声を出したりと相槌が大きくて。そんなAさんの姿に、他の保護者が失笑しているような異様な空気が流れました」
その状況に戸惑った奈美さんは、用意しておいた懇談会の資料を読むだけで精一杯だったそうです。
「Aさんが私に好意を抱いているのがわかってからは、Aさんとの距離感がわからなくなってしまって……普通に会話ができなくなり、挨拶もどこかぎこちなくなってしまいました」
そんな奈美さんとAさんの姿に一部の保護者が気付き、ついに奈美さんとAさんが付き合っているという噂が流れるようになったそう。
「園長と主任に呼ばれて、事実関係を聞かれました。私もこの関係をどうして良いものか悩んでいたので、あの時呼ばれて良かったのかもしれません。Aさんに恋愛感情はなかったので」
事情を素直に説明したAさん。いくつかアドバイスをもらい考えた結果、SNSで『恋人がいる』という投稿をし、SNSの発信自体も控えるようにしたそうです。
投稿からしばらくして、Aさんから奈美さんへの目配せはなくなりました。
「以前のような良好なコミュニケーションをとるにはまだ時間がかかりそうで。それまでの間、Aさんが保育園に送迎にくる時間には、主任にクラスに入ってもらっています。でも、まさか、ランニング記録用のSNSが仕事に影響するとは……まったく思ってもいませんでしたね」
その後、奈美さんは本名や写真を伏せて、別のSNSでまたランニング記録を始めたそうです。
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<取材・文/maki イラスト/やましたともこ>
参照:
ICT総研『2022年度SNS利用動向に関する調査』