つきあって半年ほどたった頃、急に優斗さんからメールが来た。当時はまだインスタもLINEもない。ツイッターやミクシィはあったけれど、美和さんたちの連絡手段は携帯電話やメールだったのだ。
「ごめん、もう会えないんだ。そんな一言でした。あまりに急でどうしたのかと思ってね。すぐ折り返し電話しましたよ。最初は出なかったけど……今でも覚えています。3回目で出てくれたんです。もう出ないとまずいと思ったんだと思います。そして、彼の話を聞いて驚きましたよ」

どうやら、美和さんとの交際が、優斗さんの友達経由で家族にばれてしまったらしいのだ。優斗さんのお母さんは、美和さんの身辺調査をしたらしい。そして、優斗さんの結婚相手としてふさわしくないから別れなさいと言われたとのことだった。
「“僕、ママには逆らえないから……ごめん。”そんなふうに、泣きそうな声で言われてしまいました。もう私、こんなドラマみたいなことって本当にあるんだと思って驚きましたね。確かに、私の両親は、地方に住む普通の両親です。
父は小さな工場に勤務、母は近くの食品工場の社員。華やかな仕事ではないかもしれませんが、本当にまじめに働いて、貯金をして、私を私立大まで行かせてくれた大切な両親です。その両親をなぜダメだというのですか? 犯罪でも犯しましたか? 私は、自分のことだけならまだしも、両親に負の烙印(らくいん)を押されたことが悲しくて悔しくてたまらなくて。そんな母親のやり方を許した優斗のことも許せなくなったんです」
もう許せない。悔しい。悲しい……そんな思いでふさぎこむ毎日だった。サークルにも行かなくなった。「どうしたの?」と心配して連絡をくれる人もいたが、なにも話さなかった。優斗さんと美和子さんがつきあっていたことはサークル内のみんなが知っていたはずだ。でも、学食などですれ違っても、みんな何も言わなくなっていった。
「半年くらいたったある日、いちばん仲良かった同級生の女の子にサークルを辞めたいとメールしたんです。そして、そのときに優斗は元気なのかと、尋ねました。すると、その答えがまたショックなものでした」

優斗はすでに大学を休学したというのだ。なんでも、もともと興味のあるインテリアを学びにフランスに行くことになったとのことだった。もう彼とは会えないことは決定的なのだということがわかった。
あっさりと自分を捨てて、さっくりと海外に行ってしまった彼。なんだか無性に腹が立ってきた。そしてその後、美和子さんの怒りが爆発するような事件が起きる。
……ならば大嫌いになるのかと思いきや、その事件がきっかけで、美和子さんはまるで優斗さんの「記憶に推し活」するような、ストーカー的な行動を繰り返すようになる。自分とわからないように別人になりすましての彼への執着。少々ホラーチックな彼女の行動……後編で詳しくお伝えしたい。
【後編】⇒
15年前の元彼にSNSで別人を装って恋愛相談。徹底的につきまとうと決めた33歳女性の哀しいワケ
※個人が特定されないよう一部脚色を加えています。
<文/安藤房子>
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