
浮気の事実をしらばっくれて逆ギレしたB男さん。彼はA子さんに冷酷な態度を取るようになったようですが、それだけならまだしも、徐々にシェアハウスの周囲の人たちのA子さんに対する態度も冷たくなっていったんだとか。
「彼が私の悪評を言いふらしていたんです。強引に言い寄ってきて既成事実を作られて彼女ヅラされていたとか、勝手に私物を漁ってストーカーまがいなことをされているとか、あることないこと吹聴されていました。
シェアハウスのみんなは、真面目でやさしいというイメージのある彼の言葉を信じきって、私の弁明に耳を傾けてくれる人はほとんどいませんでした。居心地のよかったシェアハウスが一気に針のむしろになり、いたたまれなくはって私は退去したんです……。
研究に一生懸命ですごく真面目で、家族にもとてもやさしく、周囲から愛されていた温和な彼が、どうして私にだけあんな仕打ちをするようになってしまったのでしょうか?」
豹変した年下彼に驚きを隠せず、相手の気持ちがまったくわからないと困惑しきりのA子さんに、筆者は次のようなことを説明していきました。
実は、「真面目」や「やさしい」といった性質は対象範囲が限定されており、向けられた対象によってガラリと変わるのはよくあることなのです。
B男さんが研究に熱心に取り組む真面目な姿や、姉妹想いのやさしい姿は、彼の本当の姿なのだと思います。おそらく、そこに偽りはないでしょう。
けれど、自分の目標に一生懸命取り組んでいるからといって、それが恋愛にも真面目に取り組んでくれるという保証にはならないし、家族や友達にやさしいからといって、それが恋愛関係にある女性にもやさしいとは限らないもの。
真面目な一面ややさしい一面を見ると、それがバイアスとなってしまい、真面目さややさしさが全方位に向けられると錯覚しがち。ですが、勉強や仕事に真面目な男が恋愛では不誠実なクズであることや、家族や友達にやさしい男が恋人には非情なクズになるというケースは、意外と多いのです。