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「首こり」を甘く見てはいけない理由を専門医が解説。“揉む”よりもやるべきセルフケア

 スマホの爆発的な普及やコロナ禍におけるリモートワークの影響などで、多くの人がうつむき姿勢でいることが増えています。それにともなって増えているのが「首こり」。単なる「こり」だと思うなかれ。  東京脳神経センター・松井病院の理事長であり、脳神経外科専門医として首こりに起因する不定愁訴の研究・治療を長年行っている松井孝嘉先生によれば、なんと、うつ病や不眠、慢性的な疲労など、体と心の不調に発展しかねないのです。

現代人の不調の根源「首こり」にご用心!

首こり

※画像はイメージです

 というのも、首は脳と体を結び、迷走神経(副交感神経)や横隔神経、腕神経叢(わんしんけいそう)など大変重要な神経が通っているにもかかわらず、生物の進化や胎児の発生の過程において首の部分が細くなり、自律神経(副交感神経)が頸の筋肉の間を裸の形で通過する構造となってしまっている(ちなみに、進化の過程で後からできてきた感覚神経と運動神経を主体とする脊髄は周囲を脊椎骨で厳重に守られています)からです。  いわば、静岡県の薩埵峠(さったとうげ)のように、狭い場所に国道一号から高速道路、在来線から新幹線の線路が密接して配置されているような状態。  ここにこりが発生すると、脳と内臓の間の情報の大渋滞が起きて、自律神経の機能不全による消化管や心臓の不調をはじめ、腕や指先のしびれなど様々な症状があらわれてしまうのです。  例を挙げると、慢性疲労症候群自律神経うつ、緊張性頭痛から、近年では児童の間で増加し、不登校やいじめにも繋がると問題化している「起立性調整障害」(朝起きられなかったり、めまいを起こしたりする)などがあるのです。  こうしたさまざまな不調に繋がる首こり。深刻化する前にはセルフケアが大切になってきますが、そのセルフケアも、首がとても重要な器官であるからこそ、注意が必要です。

飛びつきがちなこんな対処法には要注意!

 首こりがあるからと、気軽に行なってしまいがちな対処法には、首こり解消どころか悪化させてしまうこともあるというから注意が必要。松井先生が最近監修した『首こりを治せば体と心の不調の9割が消える』で挙げている「NG対処法」がこの6つ。ぜひ覚えておきましょう。 ①こり解消グッズ 首がこると、市販のマッサージグッズに頼るという人もいるでしょう。小さな力で強い刺激を加えることができるツボ押しグッズなどは、気持ちよさのあまり使っている人も少なくありません。しかし、繰り返しますが首はとてもデリケートです。変な刺激を加えると、さらに傷めてしまうなんてことも。安易なマッサージは控えましょう。 ②ツボ押し マッサージや整体と同様に、ツボ押し(指圧)、カイロプラクティクスなどの治療を長く受けても、首こりが改善されない、むしろ悪化したと、多くの人が松井先生の病院に助けを求めて訪れるんだそう。これも、首に強い刺激を加えてしまったことで、悪化を招いてしまったのが原因。もしこうしたお店に行っても、「強めに押してください」というお願いは絶対にやめましょう! ③マッサージ&整体 こりなどの違和感を持つと、多くの人はマッサージや整体に行くという選択をしがち。しかし、これらを受けることが習慣化している人こそ、こりが慢性化してしまっています。  首は自律神経が集まる中枢ともいえるデリケートな部分なので、強く揉んだり引っ張ったりするのは逆効果。重要なのは、「揉まずに緩める(ほぐす)」ことを心がけて!
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え? これもだめなの! 良さそうな治療法にもNGポイントが
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首こりを治せば体と心の不調の9割は消える

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