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田中圭の「酔っぱらい姿」から目が離せないワケ。話題の新ドラマでみせる“名人芸”

 田中圭に、吉田鋼太郎に、千葉雄大。あらら、「おっさんずラブ」シリーズの面々が続々登場。
ドラマ『unknown』(テレビ朝日)公式ページより

ドラマ『unknown』(テレビ朝日)公式ページより

 田中圭が高畑充希と共演する『unknown』(テレビ朝日系、毎週火曜日よる9時放送)は、田中圭らしい、いつもの演技が快調である。これでもかと散りばめられた名演の数々は、筆舌に尽くしがたい。 「イケメンと映画」をこよなく愛する筆者・加賀谷健が、これぞ田中圭の“一本釣り”と感じる本作の魅力を解説する。

田中圭特有の演技マナー

 田中圭の演技には、彼特有のマナーがある。この場合のマナーとは、精神や規則くらいの意味合いだが、パターン化されたお決まりの演技には、一貫した魅力がある。  高畑充希との共演ドラマ『unknown』は、冒頭から、この田中圭マナーが全開に炸裂する。交番勤務の警察官・朝田虎松(田中圭)は、見回りのとき、ひとりひとり丁寧に「おはようございます」と挨拶する。途中で、馴染みの居酒屋「どんぞこ」の店主・庭月源治(酒向芳)からじゃがいもをおすそ分けしてもらったり、とにかく町の人々から愛されている。  虎松が設置する「盗み暴力、ダメ。ゼッタイ。」という立て看板の「ダメ、ゼッタイ」は、まさに田中が得意とする好印象で爽やか愛されキャラの正義感を象徴するような文言。はつらつとした心の声が漏れ聞こえる。  こうした役柄を何度も繰り返して演じる中で、田中は演技のスタイルを深化させてきた。そうして確立された彼の演技マナーが、毎回視聴者を笑顔にしてくれる。

酔いどれの演技にみる“芸の細かさ”

 本作がテレビ朝日のドラマ作品ということで、当然、田中最大のはまり役、“はるたん”こと春田創一を演じた『おっさんずラブ』(2018年)を思い出さないわけにはいかない。このはるたん役こそ、田中の演技マナーを決定づけたと言ってもいい。  勘のにぶさもはるたん気質。本作でもいつもの調子の田中が、天衣無縫(てんいむほう)に動き回る。例えば、酔っぱらいを演じるときの田中は、もやは名人芸の域にある。はるたんがことあるごとに飲んだくれて帰ってきて、そのまま廊下で寝てしまっていた。同じように本作の虎松もその後、運命の人となる闇原こころ(高畑充希)との出会いの場面でぐでんぐでんの酔いどれを演じる。  虎松が離婚する前まで住んでいた住所に、今はこころが住んでいて、酔うとついそこに帰ってしまう。翌朝は、パキッと表情を変えて手土産を片手に謝罪する。はるたんに似たテンションの酔いどれ場面でも、わずかにパターンを変えて演じているのがわかる。さすがは、天下の酔いどれ俳優だ。芸が細かい。
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田中圭の“変わりゆく変わらないもの”とは?
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