K-POPアイドルが日韓の歴史発言をする背景とは?100年前から今まで生み出される悲劇
深沢:先ほどミソジニーの話をしましたが、女性へのまなざしや女性が置かれた立ち場も、いいほうに変わったことも多々ある反面、変わらないことも多い。そのことに気づいてもらいたいと思いながら書いた作品です。
深沢:日本と韓国のあいだには、政権の方針にも左右されるところはありますが、常に火種があります。日本では嫌韓の空気が根強くある一方で、韓国のカルチャーが好きな人たちも大勢いますよね。そうした人たちが韓国に旅行に行ったときなど、知らないがゆえに現地の人と齟齬(そご)が生まれることもあると思います。知らない個人が悪いというわけではなく、歴史を教わっていないことで生じている部分も多いですよね。
――こうして小説などの作品をとおして、いまから知ることもできますね。
深沢:はい、ひとりの人物の生きざまをとおして歴史を感じることができるのではないか、という想いは執筆中、常にありました。知って、相手の立ち場に立って想像してみる。齟齬が起きるのはなぜだろう、どの立ち場から歴史を見ているのか、それによって同じものを見ていても感じ方がどう違うのか。
すべては理解できなくても、何か感じる部分があればそれを大事にしてほしいですね。そう思って、いろんな立ち場の人を登場させました。
李方子と、夫の李垠。李垠の妹である徳恵といった実在の人物に加えて、朝鮮の独立活動家・金南漢と出会い共に朝鮮へとわたるマサ、南漢のいとこでマサと親友になる恵郷ら、架空の人物が登場する。
ときに時代に翻弄され、ときに抗おうとしながら懸命に生きてきた人たちの生涯が『李の花は散っても』に詰まっている。
【深沢潮さんインタビュー前編を読む】⇒朝鮮王族と結婚した日本の女性皇族。その数奇な運命をたどって見えてくるもの
<文/三浦ゆえ>
歴史を教わらない不幸
――こうして小説などの作品をとおして、いまから知ることもできますね。
深沢:はい、ひとりの人物の生きざまをとおして歴史を感じることができるのではないか、という想いは執筆中、常にありました。知って、相手の立ち場に立って想像してみる。齟齬が起きるのはなぜだろう、どの立ち場から歴史を見ているのか、それによって同じものを見ていても感じ方がどう違うのか。
すべては理解できなくても、何か感じる部分があればそれを大事にしてほしいですね。そう思って、いろんな立ち場の人を登場させました。
動乱の時代を生きた女性たち
三浦ゆえ
編集者&ライター。出版社勤務を経て、独立。女性の性と生をテーマに取材、執筆を行うほか、『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』(宋美玄著、ブックマン社)シリーズをはじめ、『50歳からの性教育』(村瀬幸浩ら著、河出書房新社)、『リエゾン-こどものこころ診療所- 凸凹のためのおとなのこころがまえ』(三木崇弘著、講談社)、『新生児科医・小児科医ふらいと先生の 子育て「これってほんと?」答えます』(西東社)などの編集協力を担当。著書に『となりのセックス』(主婦の友社)、『セックスペディアー平成女子性欲事典ー』(文藝春秋)がある。


