「でも、息子に声援を送る人たちもタトゥー率がやたら高く、こっちもなんだか“反社風”の人ばかり。会場には主人と2人で応援に行ったのですが私以上にビックリしたらしく、その場でずっと固まったまま。『
アイツは本当に大丈夫なのか? ヤバいこととかしてないよな?』って試合よりそっちが気になってる様子でした(苦笑)」

確かに、親なら心配して当然です。今回、息子の河田大輔さん(仮名・26歳)にも話を聞きましたが、「自分の目から見ても会場の雰囲気は悪いですね。
だから、両親に来てほしくなかった(笑)」とあっけらかんとした様子で話します。
「本当は『BreakingDown』にも応募したのですが、書類で落ちてオーディションにも参加できなかったんです。まあ、普段はスーツ着てサラリーマンやってますし、悪態つきまくった動画がネットで流れて仕事に影響が出ても困りますからね。そう考えると、今出場してるマイナー地下格闘技イベントでよかったと思ってます」
大輔さんは格闘技の経験こそなかったものの、10代のころからネットで国内外の総合格闘技の試合をよく見ていたとか。それで就職後、趣味が高じて総合格闘技を教えてくれるジムに通い始めたそう。
「ジムにもタトゥーが入った連中は何人もいて最初は僕もビビってましたけど、一緒に練習するうちに慣れました。対戦相手も見た目がヤバそうな人ばかりですけど、試合終わってもいがみ合うようなことはないですし、普通に友達になった奴もいます。まあ、母が言うように“反社風”のビジュアルの奴らが多いけど、
みんないい連中ですよ。昔はいろいろヤンチャしてたみたいですけど(笑)」
なお、紀子さんが観戦に訪れた試合では、息子の大介さんが鮮やかなKO勝利。試合終盤、相手にラッシュをかけるシーンでは「行けーっ!」と思わず声を張り上げていたそうです。
「息子が人様に殴られる姿なんて見たくないと思ってましたが、意外と平気でした。むしろ、夜に家に帰って来たときのほうが直視できなかったですね。顔じゅうがボコボコに腫れていたので。今までテレビでも格闘技の試合は見たことがなかったですけど、
いい意味で興奮できるし、スカッとするなって。おかげで最近はテレビでも格闘技を観戦するようになりました」
格闘技にハマったのは、息子よりも母親だったのかもしれませんね。
―シリーズ「令和の親・令和の子」―
<取材・文/トシタカマサ>
トシタカマサ
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。