ひきこもりの40歳娘を、重労働で支える70代両親の苦悩「何も言わず見守るのは間違い?」
現在、大きな社会問題になっている中高年のひきこもり。内閣府は今年3月、「こども・若者の意識と生活に関する調査(令和4年度)」を発表。15~64歳のひきこもりが推計146万人だと発表しました。
札幌在住の主婦・三村瑛子さん(仮名・71歳)は、3歳年上の夫と先日40歳を迎えた一人娘の絵美さん(仮名)と3人暮らし。しかし、もうかれこれ8年近く仕事をしておらず、家に引きこもったままだと言います。
「以前はコールセンターで働いていましたが上司からパワハラを受けていたらしく、何の相談もなしに会社を辞めてしまったんです。
『しばらく休んでからまた働くから」と話していたのですが、半年経っても1年経っても仕事を探してる気配はありませんでした。私や主人がもう少し尻を叩いてやればよかったのかもしれませんが、何も言わずに見守ることを選んでしまったんです。結果、娘は未だにひきこもったまま。私たち夫婦の判断は間違いだったのでしょうか……」
ただし、いくら娘でもとっくに成人している社会人で子供のようにあれこれ言うわけにもいきません。瑛子さんもそのことは理解していますが、娘さんはすでに40代。まだ先のことだと思っていた8050問題(80代の親が50代の子の生活を支え、経済的・精神的に困窮する社会問題)はもはや他人事では済まされない状況です。
「娘はずっと部屋に閉じこもっているわけではないんです。食事は一緒に取りますし、地元のショッピングモールや図書館に1人で出かけることもあります。最近は娘もさすがに今のままじゃマズいと考えているのかフリーペーパーの求人誌を貰ってきたり、インターネットの求人サイトもチェックしているようです。けど、実際に面接を受けに行ったりしているわけではなく、そこに踏み出す勇気がないみたいです」
推計115万人だった19年の前回調査からわずか4年で30万人増えたことも驚きですが、それ以上に衝撃的だったのが女性のひきこもりの割合が大幅に増えたこと。特に40~64歳の中高年では女性のひきこもりが52.3%と男性を上回っていたのです。
一人娘はパワハラで退職後、8年間ひきこもったまま
本人にも問題意識はあるが、一歩踏み出す勇気がない
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