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「俳優・永山瑛太の代表作は?」に答えにくい理由。カンヌ受賞作でも見せた“圧倒的な振り幅”

圧倒的な存在感を放ち続ける俳優・永山瑛太。春クールのドラマのなかでもひときわ話題を集める『あなたがしてくれなくても』(フジテレビ系、木曜夜10時~)ではセックスレス夫婦の夫を、カンヌ国際映画祭で脚本賞と“クィア・パルム賞”を受賞した映画『怪物』(公開中)では生徒への暴力が疑われる教師を演じています。
あなたがしてくれなくても

画像:フジテレビ『あなたがしてくれなくても』公式サイトより

映画・ドラマ界にとって、永山瑛太がなくてはならない存在である理由とは。俳優デビューから20年以上も第一線で活躍し続ける永山瑛太(旧芸名:瑛太/EITA)の魅力を、過去の出演作品を振り返りながら分析します。 ※以下、登場する一部の過去作品についてのネタバレを含みます。

“気さくな兄ちゃん”から“影のある人物”まで大きな振り幅

いまや、クセのある役を演じさせたら右に出る者はいない永山ですが、2001年にデビューした彼は当初“どこにでもいそうな気さくな兄ちゃん”という印象でした。大ヒットドラマ『ランチの女王』(フジテレビ系)『オレンジデイズ』(TBS系)の両方で演じていた、妻夫木聡の友人役がまさにそれ。 そこから、彼の演技力が「ヤバい」と最初に気づかされた作品は『アンフェア』(関西テレビ・フジテレビ系)でした。主人公の女刑事・雪平(篠原涼子)の相棒となる後輩刑事・安藤。はじめはいつも通り“気さくな兄ちゃん”かのように振舞っていたのですが……このとき永山は、ひとつの役の中で大きな振り幅を見せたのです。
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これ以降も、演じてきた役どころはじつに幅広い。『のだめカンタービレ』(フジテレビ系)で、底抜けに明るいムードメーカーの役どころで楽しませてくれたと思ったら、『ラスト・フレンズ』(同)で性的虐待のトラウマをもつ繊細な青年や、『それでも、生きてゆく』(同)で妹を殺された傷をもつ青年を演じ、私たちを圧倒。 年齢を重ねていくと、『まほろ駅前』シリーズ(テレビ東京系)の便利屋や、『ハロー張りネズミ』(TBS系)の探偵などアウトローな風貌の役で男の色気を感じさせる演技も際立ってきました。

めんどくさいけど憎めない男、を演じさせたら天下一品

近年の永山は、“ちょっとめんどくさい男”の役どころも印象的。ドラマ『最高の離婚』(フジテレビ系)では、神経質で理屈っぽく、ついデリカシーのない発言をしてしまう主人公を演じました。そして『リコカツ』(TBS系)での、令和とは思えない昔気質な規律正しい自衛官役は、堅物の変人。「こんな奴、そばにいたらマジでめんどくさっ!」と思うのに、どこか憎めず、愛おしくさえ思えてきます。
TBS「リコカツ」公式サイトより

画像:TBS「リコカツ」公式サイトより

現在放送中のドラマ『あなたがしてくれなくても』(フジテレビ系)の陽一役にも通じるところがあるかもしれません。妻・みち(奈緒)を愛しているのに、セックスがプレッシャーになってしまった陽一。しかし妻と向き合うことから逃げ、まさかの浮気をしてしまいます。しかも罪悪感に負けて、浮気したことを妻に告白してしまうダメっぷり。でも、やはり憎めない。
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「セリフでは語られない心情」を感じさせる表現力
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