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「俳優・永山瑛太の代表作は?」に答えにくい理由。カンヌ受賞作でも見せた“圧倒的な振り幅”

世界観を守りながら、インパクトを残せるのはなぜか

一体なぜ永山は、作品の世界観を決して崩さずに強烈な存在感を残せるのでしょうか? 最近のインタビューに、永山の役づくりの姿勢についてのヒントがありました。
「基本的にはドラマの楽しみ方ってみなさんそれぞれ違うじゃないですか。その全ての演出をしている監督が、作品をどう形作っていくかの権利を一番持っていると思っていて。俳優部としては、監督の要望に当たり前に応えられることと、それと別の裏切り、台本には書かれてない想像しなかったような表現をいくつ現場に持ち込めるか、なのかなと思います」(Real Sound 2023/4/27<永山瑛太が考える“夫婦”という関係 『あなたがしてくれなくても』陽一役は「ノープラン」>より引用) 役を深く掘り下げて創り上げる確固たる役者魂をもちながら、監督の要望に応える柔軟性もある。そのさじ加減こそが、作品の世界観を守りながら、役のインパクトを残すことに繋がっているのでしょう。

映画『怪物』の担任教師はまさに、彼にしかできない役

冒頭でも触れたカンヌ2冠で話題の映画『怪物』でも、永山の凄みを感じました。
小さな町の小学校で起こった喧嘩。食い違う主張のなかで、生徒の母親(安藤サクラ)に暴力教師のレッテルを貼られる担任を演じています。ひとつの事件を様々な角度から描いていく本作において、永山の“いい先生”にも“悪い先生”にも見える表現力は欠かせません。 役柄にかかわらず作品の魅力を最大限引き立てる永山瑛太という俳優。これからも様々な話題作に登場し、多彩な表現で私たちを驚かせ、楽しませてくれることでしょう。 <文/鈴木まこと>
鈴木まこと
日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間でドラマ・映画を各100本以上鑑賞するアラフォーエンタメライター。雑誌・広告制作会社を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとしても活動。X:@makoto12130201
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