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「議会で男性にタンポンの話をさせるのはセクハラ」杉並区議の発言に性教育YouTuberの見解は

適切な防災備蓄のために必要な話題

 小林氏は20日、「男性にタンポンの話をさせるのはセクハラとは言っていない」「災害対策の委員会室で約60人が注目する中、男性職員1人を起立させてタンポンと月経カップの話をさせるのはセクハラだと感じたのです」といったツイートもしています。  シオリーヌさんは「地域の防災について話し合う場での質問としては自然なものでは」と見解を述べます。 「過去の災害時、避難所で支給された生理用ナプキンが足りなかったというケースを耳にしたこともあります。適切な備蓄をするためには、月経時の女性の経血量や生理用品の必要量であったり、生理用品の種類への理解や、それに基づいた話し合いが各自治体でなされることが重要です」  2012年7月に内閣府が発表した「東日本大震災における災害応急対策の主な課題」を見ると、当時避難所で「生理用品がない」といった問題が生じていたことが報告されています。

生理は“恥ずかしいもの”?

学校

※イメージです

 シオリーヌさんは日本社会の風潮として「生理の話題が“いやらしいもの”として捉えられてしまう現状がある」とも話します。 「生理用品は日常生活に欠かせない衛生用品であり、防災備蓄についての話し合いであれば、本来は『トイレットペーパーがどのくらい必要か』『綿棒は要るのか』といった話題と同等のものです。  確かに、今の日本で生理用品の話をするのが恥ずかしいと感じる人がいるのは理解できますし、その気持ちを否定することはできません。ただ、恥ずかしいからと言って、議会のような場所で話し合いを避けてしまえば、いざというとき、多くの人に必要な物資が行き届かない状況になります」  生理の話題をタブー視する人が多い理由はどんなところにあるのでしょうか。 「大人世代は、小学生や中学生のときに男女別で性教育の授業を受けたという人が多いと思います。それによって『生理の話はこっそりするべきもの』という印象を持ったまま、大人になっていく女性は少なくありません。また、男性は生理について教わる機会がなく、正しい知識を持たないまま大人になる人も多いと思います」  日本における性教育は、諸外国に比べて遅れをとっているとしてたびたび批判を受けています。その理由の一つに「はどめ規定」の存在があるといいます。 「たとえば中学校の学習指導要領には、『妊娠の経過は取り扱わないものとする』という一文があり、“はどめ規定”と呼ばれています。これによって、保健の授業では、受精や妊娠については取り扱うが、性行為や具体的な避妊方法については取り扱わないこととなっています」  なお、2022年10月の衆議院文科委員会の質疑では、永岡桂子文部科学大臣が「(はどめ規定を)撤廃することは考えていない」と答弁しています。
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包括的性教育の推進を
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