――この作品は読者からの反響が非常に大きかったそうですが、どんな声が多かったのでしょうか?
ぱん田ぱん太さん(以下、ぱん田):本の後書きにも書いたのですが、チコちゃんが勝手に人のフライドポテトを食べたエピソードの反響がすごかったです。きっと同じような体験をしたことのある人が多いからだと思います。「そんなにみんなポテトをとられているのか」というのがすごく面白くて印象に残っています(笑)。
――他にも、共感の声が多いエピソードはありましたか?
ぱん田:チコちゃんの家庭環境の複雑さや、お母さんとのエピソード、妹へのコンプレックスがきっかけで過食症になってしまったユキちゃん(チコちゃんの夫の友人の妻)の話は反応が多かったです。「私も似たような経験があって、この漫画を見て救われました」とコメントやDMをくれた読者さんが沢山いたことをよく覚えています。この漫画を描いてよかったなと思いました。

『欲しがるあの子を止められない とんでもないクレクレちゃんに絡まれた結果、 人生を深く考えた話』(KADOKAWA)
――チコちゃんは、頻繁すぎる「一口ちょーだい」を友達に注意されると「一口が惜しいとかちょっとケチやな…」とまさかの返しをしてしまうなど、少し困ったキャラクターとして描かれています。しかしその後の展開で彼女の過去が描かれることで、印象が大きく変わっていきます。読者の反応はどうでしたか?
ぱん田:最初はチコちゃんに対して「このクソ女!」などの過激なコメントがブワーっと溢れていました。でもチコちゃんの過去を描いているうちに「チコちゃんは大変だったんだね」と理解をしてくれる声が増えて、最終的には「チコちゃん頑張れ! あなたなら変われるよ」「登場人物全員が好きです」と応援してくれるように反応が変わっていって、私としては描いていてすごく楽しかったです。
――切り取り方で印象が180度変わってしまうんですね。
ぱん田:でも、それが嫌だと感じる方もいるようで、コメント欄で物議を醸しているところでもあるんです。
例えば、最初の頃にチコちゃんに対して「この女は腹が立つ」とコメントをしてしまって、後にその過去が描かれることで「最初の頃に批判的なコメントを書いてしまった自分が罪深く感じるので、この人の漫画は好きじゃない」という方もいます。
「悪役はずっと悪役でいてほしい」という方もいるみたいです。でも私は読者の感じ方が変わっていくのが楽しいし、感想が変わるのは全然悪いことじゃないので罪悪感なんて持たなくていいのになと思っています。