また、裏側が気になってしまうことも沼ってしまう要因である。
出演する“力士役”は全員身体が仕上がっており、「役者は本当の力士なのか?」とキャスティングが気になる。さらには、稽古や取り組みのシーンも激しくぶつかっており、ドラマでありがちなカメラワークで殴り合っているように見せかける、という手法は使えない。「稽古のシーンは本当にぶつかっているのか?」「デジタル技術を活用しているのか?」など、どのように撮影したのかも知りたくなる。
そんな欲求を見越してか、YouTubeには出演者が舞台裏を話すインタビュー動画が多くアップされている。まずテレビプロデューサーの佐久間宣行がインタビューとなって一ノ瀬とピエール瀧が話す動画では、肉体改造から撮影まで制作期間が2年半だったこと、1シーンを様々な角度から撮影するために3日間も費やしたことなど、想像以上の手間暇がかかっていたことを明かす。
また、一ノ瀬はたどたどしくなるシーンがちょくちょくあったが、その度にピエール瀧がツッコミを入れてフォローするなど、その場でも“師弟関係”が見られたことが微笑ましかった。
撮影ツアーの動画では、一ノ瀬が猿将部屋の実際のセット内を撮影秘話を交えながら回る。猿将部屋の力士たちも全員登場して、そこで出演者が元力士なのか、現役者なのか紹介されており、意外と元力士が多いことに驚く。ただ、こちらでも出演者同士の仲の良さが随所に見られる。2年半も苦楽を共にした戦友であり、当然と言えば当然なのかもしれない。『サンクチュアリ』では“青春”が描かれていたが、出演者にとっても『サンクチュアリ』の撮影は青春だったのではないだろうか。そう思わせるほど仲睦まじい掛け合いが見られた。
さらには、一ノ瀬とピエール瀧に加えて、新聞記者・国嶋飛鳥役の忽那汐里との3人でシーンを振り返る動画も見どころ満載。猿桜が水を吹きかけられる、というシーンに対して、一ノ瀬は「結構救いやった」とコメント。見ているほうはギョッとする場面ではあるが、むしろ“給水タイム”としてありがたみを感じていたという。また、8話での感動的な猿谷(澤田賢澄)の断髪式のシーンでの、それぞれの心情も語られており、視聴者と出演者の気持ちがリンクしていたことを知れた。
これらの動画を見ると派手でありながらも細部までこだわり抜いた作品であることがわかる。だからこそ、裏側を知ったうえで、もう一度見直したくなる。2~3周目に突入したくなる工夫にも余念がないことがこれほどのムーブメントにつながったのではないか。
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<文/望月悠木>
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フリーライター。社会問題やエンタメ、グルメなど幅広い記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。X(旧Twitter):
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