
そして、今回の加納恭二である。
正直、これまで錦戸が演じてきた役で、「色気ダダ漏れ」の役があったかというとパッと思いつかない。見ている側が自主的に色気をキャッチしているところはあるだろうが。
そもそも、役の解説で「色気がダダ漏れ」と書かれていて本当に「色気がダダ漏れ」ていることがどれだけあっただろうか。
そんなこと言って、自称アーティストだけでなく、自称色気ダダ漏れ男ではないのだろうか、と失礼ながらちょっとだけ思っていたのだが、まったくの杞憂だった。
そもそも色気ダダ漏れの男とはどんな男なのか、というのがイマイチ、ピンときたことがなかったが、加納恭二を見てわかった。「ダメだとわかっていてもハマってしまう男」だ。
ミステリアスで、ダメなところもあって、その弱みを自分にだけ見せてくれていると思わせてくれる人。恭二と出会って、ハマらない女性がいるのだろうか、いやいない。
この役のすごいところが加納恭二の役に、錦戸亮が本来持っているかわいらしさも乗っているところだ。今年39歳になる男性にかわいいとは何事かと怒られてしまいそうだが、ふとしたときに見える無邪気さが色気のある男に上乗せされて、より沼になっている。
むしろ今だから演じられる役という刹那さもあるのかもしれない。