ジャニー喜多川氏の性加害問題の他にもこんなことがありました。2019年に松尾潔氏のラジオ『松尾潔のメロウな夜』(NHK-FM)にゲスト出演した際、未成年へのレイプや数々の性的虐待で禁固30年の判決を受けたR・ケリーの楽曲を、「作品に罪はない」との理由で、松尾氏の制止を押し切ってオンエアしたのです。
放送の4ヶ月前にはレディ・ガガが2013年のR・ケリーとのデュエット曲「Do What U Want」をすべてのストリーミングサービスから削除すると発表しました。山下氏にも一報は届いていたはずです。

(画像:『松尾潔のメロウな夜』NHK公式サイトより)
にもかかわらず、事の重大さに意識が及ばなかった。もしくは理解していても、音楽作品を第一に考える“Artisan”(職人)気質を貫くことが己の美学だと信じて疑わなかった。ジャニー喜多川氏への敬意とあわせて、一本筋が通っているとも言えるのでしょうが。
ポール、ディランや桑田佳祐はファッションも柔軟に変化したが…
そんなブレない強さに感服する一方で、筆者には以前から気になってきた部分があります。それはファッション。

『オフィシャル・バンドスコア 山下達郎 / 40th Anniversary Score Book Vol.1 』ドレミ楽譜出版社
山下氏といえば、80年代から変わらずチェックシャツにブラックデニムの出で立ち。その時代なりのトレンドを反映したシルエットでもなく、メディア露出時のビジュアルは30年以上もの間一定です。
これがどれだけ独特であるかは、81歳のいまが一番スタイリッシュなポール・マッカートニーや、CELINEのモデルにもなったボブ・ディランを考えればわかるでしょう。
ザ・ローリング・ストーンズも、ジョージ・クルーニーやジュード・ロウなどを手掛けたスタイリストの手で現代的に復活しました。
日本では近年の桑田佳祐がカラフルな装いで新たな魅力を放っている。
彼らだって特別オシャレなわけではありません。ただし、いまの価値観に沿って生きていることを示す大切さを理解している。柔軟な考えを持っていることを着るものによっても表現しているのですね。それは音楽にも反映されます。

「お互い元気に頑張りましょう!! -Live at TOKYO DOME-」ビクターエンタテインメント