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うつ病からの“リハビリ”として婚活を始めた女性のその後。主治医の「結婚すれば?」で人生が激変<漫画>

「今ここからどうするか」を描きたかった

――石田月美さんの原作のコミカライズのきっかけは何だったのでしょうか? 石田月美さん(以下、石田):2020年に原作本を出したとき「漫画版が読みたい」という声を沢山いただいたんです。その理由の1つとして、うつ病になると文字を追うことが難しいということがあります。私自身にもその症状がありました。原作は文章量がとても多く、本当に困っている当事者に届いていないのではないかと思っていたので、編集者さんにコミカライズの相談をしていました。 その際、私は絶対に磋藤にゅすけさんに漫画版の執筆をお願いしたいと思っていたので、Twitterで直接ご連絡してお願いしました。突然のことですごく驚かれたと思います(笑)。
石田月美さん

石田月美さん

――にゅすけさんに漫画化してほしいと思ったのはなぜだったのでしょうか? 石田:にゅすけさんの漫画はすごく勢いがあって、絵柄が可愛らしくて、エッセイ漫画の名手でもあるので『ウツ婚!!』に合うと思いました。それに、以前にゅすけさんのエッセイ漫画でご実家の苦境をテーマにされていた時に、ご両親に対する恨みつらみが一切描かれていなかったんです。『ウツ婚!!』は、ウツを抱えながら婚活する主人公に対していくらでも意地悪な描き方ができるのですが、にゅすけさんなら安心して執筆をお任せできると思いました。 ――にゅすけさんは石田さんから連絡があった時どういう印象だったのでしょうか? 磋藤にゅすけさん(以下、にゅすけ):原作者から直接ご依頼があったのは初めてで驚きました(笑)。でも原作本を読んで、主人公の月美ちゃんがジタバタしながら婚活に励む様子にすごく感情移入しました。後半は「HOW TO編」として、精神疾患の女性が生き延びるためのアドバイスが満載で、当事者への愛を感じました。
磋藤にゅすけさん

磋藤にゅすけさん

――コミカライズにあたって配慮したポイントはありますか? にゅすけ:「悪者を作らない」というのは、石田さんとの共通認識だったと思います。例えば、現実的にはまだ行政の支援制度が不十分だったり、精神疾患の方を取り巻く社会問題として描くこともできる作品だと思います。でも原作では、「支援が追いついていないなら自分で走り出すしかない!」ということが表現されているので、月美ちゃんが奮闘する姿を描いた方が読者に伝わるものがあるのではないかと思いました。 石田:この作品では、なぜ月美がうつ病になったのか、誰かから酷い扱いを受けたから病気になった被害者という部分は意図的に省いているんです。それよりも、「今ここから自分はどうするか」を描きたかった。それをにゅすけさんは見事に漫画化してくださったと思います。

リハビリがてらの婚活のススメ

――そもそも、石田さんが精神疾患を抱えながら婚活を始めたきっかけは何だったのでしょうか。 石田:診察の際に主治医から「結婚すれば?」と言われたのですが、完全に思い付きだったと思います(笑)。うつ病になり、休む期間を経て少し回復してきて「私はこの先どうしたらいいんだろう」と不安でいっぱいだった時期でした。精神科やデイケア(患者の自助施設)はとても居続けやすいところなのですが、私の場合は社会と断絶し続けることに対して焦燥感がありました。そんな時のアドバイスだったので「じゃあやってみよう」と思えたのだと思います。
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婚活で疲れてしまった時は?
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