原爆コラ画像問題で炎上も、映画『バービー』がこの夏絶対に見るべき作品と言えるワケ
2023年8月11日より映画『バービー』が劇場公開中だ。
同作は全世界の興行収入が公開からわずか17日で10億ドルを超え、女性が単独で監督を務めた映画史上歴代No.1を達成するなど超大ヒットを遂げている。
しかし、残念ながら非公式のネットミームにアメリカの『バービー』公式X(旧Twitter)が好意的なリプライをしたことが、日本で大炎上し悪い意味で話題になってしまった。
海外の多くの都市で同日公開された『オッペンハイマー』をもじった「バーベンハイマー(Barbenheimer)というミームが流行し、そこで一部ユーザーが投稿した原爆投下を揶揄するようなコラージュ画像をアメリカの『バービー」公式Xが共有、さらに「忘れられない夏になりそう(It’s going to be a summer to remember)」などとリプライをしたのだ(現在は削除)。
日本の『バービー』公式Xが声明を出し、アメリカのワーナー・ブラザースが謝罪の言葉をメディア向けに発信したものの、このこと自体は国際的な問題として議論されなければならないだろう。
そのうえで、映画『バービー』の内容はその騒動とはまったく関係がない(もちろん本編に原爆は出てこない)こと、そして本編の素晴らしさをここでは主張しておきたい。爆笑しながら泣ける、子どもから大人まで楽しめるエンターテインメントとして申し分のない内容であると共に、フェミニズムの映画としても実に革新的だったのだ。その理由を記していこう。
あらすじはこうだ。ピンクに彩られた“バービーランド”に住み完璧でハッピーな毎日を過ごしていたバービーは、「“死ぬ”ってどういうことなの?」という考えが頭に浮かび、身体に異変も起こり、大いに困惑する。真相を知るため、バービーはボーイフレンドのケンと共に人間の世界へと旅立ち、数々のトラブルに遭遇するのだが……。
本作の序盤にある面白さは、誰にでもわかりやすい“カルチャーギャップコメディ”。人間にとっては当たり前の認識や文化に対するバービーとケンの驚きや戸惑いが、ハイテンポな編集のおかげもあって大いに笑える。キャストそれぞれ、特にライアン・ゴズリングの“リアクション芸”はすべり知らずで、もはや彼が「何をやっても面白い」レベルにまで到達していた。
さらに、冒頭から人によってはギョッとしてしまうかもしれない、とある有名映画のちょっと(かなり?)過激なパロディがある。さらに、バービーを世に送り出した“マテル社”までも登場し、バービーというおもちゃのあり方や歴史をイジったギャグもあるし、いわゆる“ポリコレ”の配慮への言及もある。
そんなメタフィクショナルかつ“毒っ気”が強いギャグも満載で、良い意味でまったく“良い子”な映画ではないのだ。
「原爆投下を揶揄するコラ画像」にリプライして大炎上

毒っ気が強く、“良い子”ではないコメディ映画
