障がい者の恋愛描くドラマ『初恋、ざらり』で、制作が「炎上リスクよりも配慮したこと」。プロデューサーが語る
7月からざくざくろ氏の漫画『初恋、ざらり』(連載:コルクスタジオ/単行本:KADOKAWA)を原作としたドラマが放送され、その注目度が日に日に増している。ドラマ24『初恋、ざらり』(テレビ東京系、金曜深夜24時12分~)は、軽度知的障害と自閉症のある上戸有紗(小野花梨)と、有紗のアルバイト先の運送会社で働く岡村龍二(風間俊介)との恋愛模様を描いたラブストーリーだ。
まず『初恋、ざらり』をドラマ化した経緯として、「以前から社内で話題になっていた漫画原作です。チーフプロデューサーの祖父江Pから『北川君、この作品やってみない?』と言われて原作を読んだのですが、難しいテーマを扱っていることもあり、やりがいがあるなと感じました」と話し始める。
「僕は不器用な人間を描いたヒューマンドラマを企画することが多いのですが、『いつか“ドラマ24”という枠でド直球のラブストーリーをやりたい』という気持ちがあり、『初恋、ざらり』はぜひドラマ化したいと思ったんです」
『初恋、ざらり』は恋愛要素もあるが、どちらかというとヒューマンドラマの印象を受ける。なぜ『初恋、ざらり』を読んでド直球のラブストーリーと感じたのだろうか。
「なぜド直球のラブストーリーと感じたのか、僕自身もイマイチわかっていませんでした。ただ、作者のざくざくろ先生が『障がい者だって恋愛もするし、セックスもする。嘘もつくし、私達と同じような日常を過ごしている』と話していたんです。それを聞いた時、確かに障がいをテーマにしつつも、どこにでもいる男女の恋愛要素を軸に描いているから惹かれたのだと感じました」
有紗は軽度知的障害などを抱えているが、あくまで日常に則ったうえでストーリーが展開される。そのリアリティがドラマ化の決め手になったようだ。
障がいがあることに劣等感を抱え“普通”に憧れる有紗と、不器用ながらも心優しい岡村の距離が縮まっていく様子はとても微笑ましい。その一方で有紗だけではなく登場人物の生き辛さも丁寧に描かれており、視聴後には毎回誰かに優しく接したくなる、そんな気持ちにさせる作品である。
本作のプロデューサーを務め、株式会社テレビ東京 制作局 ドラマ室の北川俊樹氏に、ドラマ化しようと思った経緯、完璧なキャスティングが実現した裏側を聞いた。