障がいを扱っている作品をドラマ化することは、どれだけ配慮しても炎上などのリスクは付きまとう。ドラマ化する際にそうしたリスクの心配はなかったのだろうか。
これには「私達としては『賛否両論はあるかな』と思っていましたが、炎上リスクは特に意識していませんでした。制作するうえで
ドラマを見て誰かを傷つけないように、誰かを救えたり癒したりできるように配慮しています」という。

©「初恋、ざらり」製作委員会
ただ、誰かを傷つけないように配慮すると角が立たずにつまらない作品になってしまう可能性も出てくる。ある程度の過激さもドラマには必要な気もするが、そこのバランス調整については、「常に原作を拠り所にしようと思って制作しました。確かに表現が難しくなるシーンもありますが、その度に
『原作ではどうだったのか?』、そして『観る人にどんな印象を与えるのか』ということを意識するようにしていました」と答えた。
原作を羅針盤として制作しており、現場の原作へのリスペクトは相当高いのだろう。

ドラマ制作の羅針盤ともなった原作/ざくざくろ『初恋、ざらり』(KADOKAWA)
原作の面白さ、制作スタッフの配慮などが伺えたが、主演の小野花梨と風間俊介がハマり役であることが本作の面白さに大きく影響している。

©「初恋、ざらり」製作委員会
今回ふたりをキャスティングした背景を聞くと「私達テレビ関係者はもちろん、演劇業界の中では小野さんの演技力は評判でした。
2021年に上映された『プリテンダーズ』という映画で主演を務めていたのですが、その時の芝居がとんでもなく素晴らしいです。ですので、『いつか連続ドラマでも主演を任されるだろう』という認識はすでに広がっており、今回たまたま私達の作品で主演することになった感じです」と答える。