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ジブリ最新作で木村拓哉が演じた「父親」が抱かせる“良い意味での拒否感”|『君たちはどう生きるか』

カリスマ性とともに、虚勢や情けなさも感じさせる

『ハウルの動く城』より。ハウル。© 2004 Studio Ghibli・NDDMT

『ハウルの動く城』より。ハウル。© 2004 Studio Ghibli・NDDMT

 木村拓哉は誰もが知るスター俳優であり、唯一無二のカリスマ性を持っているが、演じる役ではどこか虚勢を張っているように思えたり、声が少し情けなく聴こえる場合も多いように思う。  現在はAmazonプライムビデオで配信中の『レジェンド&バタフライ』で木村拓哉が演じた織田信長も、それこそがハマり役になったいちばんの理由だった。 【関連記事】⇒木村拓哉が信長役にピッタリハマる理由。『レジェンド&バタフライ』から読み解く 『君たちはどう生きるか』の勝一も、『ハウルの動く城』のハウルもまた、自分本位の考え方をする、自意識過剰とも言えるキャラクターであるのだが、やはりカリスマ性とあわせて虚勢や情けなさをも感じさせる声と演技のバランスがあってこそ、「それだけでない」複雑な内面がうかがい知れるのではないか。

宮崎駿「父のことを思い出しました」

 木村拓哉は『君たちはどう生きるか』のスタジオに到着した時、宮崎駿監督から勝一は自身の父親をイメージしていると聞いていて、アフレコ終わりには宮崎駿から「父のことを思い出しました」と声をかけられたそうだ。 『君たちはどう生きるか』はファンタジーではあるが、宮崎駿の少年時代が確実に投影されている作品でもある。同時に、主人公の少年・眞人が父親の勝一や、その再婚相手(しかも亡くなった母の妹)への拒否反応を含む複雑な思いを抱えたがゆえのドラマも展開する。  木村拓哉が演じる勝一の出番は決して多くはなく、アフレコ自体も2時間程度で終わったそうだが、その役柄は物語の発端に大きく関わる重要なものだ。  おそらくは、実際の父親にネガティブなものも含め複雑な気持ちを抱えていたであろう宮崎駿が、木村拓哉の声の演技を聴いて「父のことを思い出しました」と言うのは、最大級の賛辞だろう。  前述した通りの良い意味での拒否反応も含めて、ぜひ劇場で木村拓哉の“らしさ”にも聴き入ってほしい。 <文/ヒナタカ>
ヒナタカ
WEB媒体「All About ニュース」「ねとらぼ」「CINEMAS+」、紙媒体『月刊総務』などで記事を執筆中の映画ライター。Xアカウント:@HinatakaJeF
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