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藤井風って何がすごいの?という人に伝えたい。いろんな意味で“規格外な存在”であるワケ

 藤井風は、2019年のデビューからあれよあれよという間に、国民的な存在になった。
藤井風「LOVE ALL SERVE ALL」Universal Music

藤井風「LOVE ALL SERVE ALL」Universal Music

 2023年は6月から7月にかけて初のアジアツアー『Fujii Kaze and the piano Asia Tour』を行った。『FIBAバスケットボール ワールドカップ2023』では、テーマソング「Workin’Hard」を書き下ろし。藤井の名前、その音楽を耳にしない日はない。 「イケメンと音楽」をこよなく愛する筆者・加賀谷健が、そもそもの話、藤井風の何が、どうすごいのか、いくつかの特徴を踏まえながら解説する。

藤井風ってなんなん!?

「藤井風って何がすごいの?」。まずはこの問いから始めたい。これにベストアンサーを与えてくれるのは、2019年11月にリリースされた野心的なデビューシングル「何なんw」だろう。  さぁ、この独特なタイトルのシングルで藤井風を初めて聴いたリスナーはどう思うだろう。舌打ちが紛れ込むイントロを聴いて、思わず「なんなん?」となるか。あるいは、サビの「なんなん」コーラスと藤井の歌唱に自然と身体が揺れるだろうか。  いずれにしろ、これは単なるデビューシングルではないということ。藤井にとって名刺代わりのとりあえずの一曲でもない。この豊かな音楽性、そのグルーヴ感にいてもたってもいられなくなる。思わず、藤井風ってなんなん!?

音楽を奏でる喜び、聴く喜び

 特別美声というわけでもない。なのにどんなシンガーよりもしっとりつややかに歌唱は響く。歌唱を支える持ち前のピアノ演奏は、前奏も伴奏も独奏も音楽を奏でる喜びに満ちている。メロディから音がこぼれてきそうな気配すら。  もちろんこぼれない。リスナーをそう錯覚させながら、たちまちにして音楽を聴く喜びに目覚めさせる。気づけば、藤井風ワールドのグルーヴィーな渦の中でぐるぐる回っている。  デビュー前からYouTubeを主たるプラットフォームとして、古今東西のカバー曲をアップしてきた彼ならではの技芸も魅力あふれる。例えば2021年リリースのカバーアルバム『HELP EVER HURT COVER』に収録されている「Beat It」を聴いてみる。  マイケル・ジャクソンが1982年にリリースし世界的メガヒットとなった『スリラー』からシングルカットされたナンバーだが、これが藤井の強い打鍵のリズム感によって、ものの見事に独自の表現に落とし込んでいる。恐るべき才能を感じた。
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歴代のクセ強元祖に連なる系譜
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