Lifestyle
Human

高校生の娘のバイト代も使い込むダメ父。「こいつはヤバい」と親を見つめた女性の壮絶人生を招いたものとは

―連載「沼の話を聞いてみた」― マルチ商法に訪問販売、カルト宗教や怪しげな健康法。筆者がこれまで取材してきた体験談では、そうしたものに自分から積極的にかかわっていったケースより、「人に誘われた」ケースが圧倒的に多かった(当社比)。筆者の友人経由で知り合った、高橋珠江さん(仮名・40代)もそうだという。 珠江さんは、東北地方の出身だ。豊かな黒髪が印象的な2児の母である。ところが彼女の歩んできた人生は、その穏やかな見た目からは想像できない、ハードなものだった。
親子三代勧誘沼202310

※写真はイメージです(以下同)

珠江さんは「物心ついたときからいままで、ずっと何かしら“勧誘”されているんですよね」と話す。周囲を巻き込むようなよからぬものにハマることを、当連載では「沼」と読んでいるので、それはさしずめ「沼からの呼び声」だろうか。

人生、まわりは勧誘だらけ

珠江さんの勧誘遭遇歴は、ざっとこんな感じである。 ・実家にセールスの電話や訪問販売が次々と押しかけてきて、アルコール依存症で常に酔っている祖父が片っ端から買い上げる ・父が中学の同級生に誘われ、マルチ商法のアムウェイと新宗教にハマる ・珠江さんはバイト先で「肩こりも腰痛も治る」と補正下着マルチの体験会場に連れていかれる ・実家を離れてひとり暮らしをするもトラブルからひきこもりになった珠江さんのもとに、高級布団と印鑑の訪問販売が来る ・「遊びに行こう」と友人に連れ出された先が、カルト宗教の儀式だった ・がんを患い標準治療を受けていると、知人から民間療法の会に誘われる ・ブログの読者から、冷えとり健康法のコミュニティに幾度も誘われる 「自分に直接かかわるものだけでこんな感じで、周りも本当に多いんですよ。親戚友人の話なら、ほかにも山ほどあります。勧誘って本当に、弱っている人を見つけるのがうまいんですね。その嗅覚は、感心してしまうほどです」

カモにされやすい環境がある

相手に嗅ぎつけてくるのもあるだろうが、狙われやすい環境というのもあるのではないだろうか。病気の家族を抱えている。家庭内にトラブルがある。地域の交流が盛んであった時代・地域なら、それらの情報はだだ漏れだったかもしれない。 まずは、実家の話から聞いていこう。 親子三代勧誘沼202310珠江さんの実家は祖父母が裕福な家の出身で、東北地方で馬喰(ばくろう 家畜を売買、交換、斡旋する商売)を生業にしていたという。一族が所有する土地は広大で、家業も繁栄していた。 戦後に建て替えた住まいは贅を尽くした日本家屋で、井戸や池のある立派な庭では四季の自然が楽しめた。周りには、豚や馬の厩舎と田畑が広がる。その土地では、誰もが知る存在だったという。 しかし潤沢な資金があったのは、戦前までの話だ。
次のページ 
祖父の暴走、原因がわかっていても止められない
1
2
3
4
Cxense Recommend widget
自分が身内が友人が沼ったご体験談を募集中です。当連載における沼とは、科学的根拠のない健康法やマルチ商法、過激なフェムケアや自然派思想など、主に健康問題に関わるものにハマることを示します。「女子SPA!」のお問い合わせフォームより、ぜひお気軽にご連絡ください(お返事に時間を頂戴する場合もあります)。
あなたにおすすめ