武というかなり難しい役に勝村をキャスティングした理由を聞くと、「勝村さんってどんな役でも鮮やかにしてくれますよね。
そんな勝村さんがDV夫をやった時、どのように派手に面白く演じてくれるのかなと思ってキャスティングしました」と説明。

Ⓒ「くすぶり女とすん止め女」製作委員会
髪をテカテカに固め、横文字をやたら使うシーンも多い武は、コントっぽくなってしまうリスクもある。武の映し方には注意しなけばチープになってしまうが、「そこはとても悩みました。最初はコメディ寄りにしようと考えていたのですが、1話でまず視聴者が郁子に共感できるようにしたかったため、シリアス色を強くしました」と話す。
「その後も“コメディにシフトしていく”というより、『
徐々に郁子やほのかが変化していくことで、言っていること・やっていることは変わらないけど、武の軽薄さが表面化していく様子を面白おかしく見てもらえるように』と意識しています」
そもそも、武というDVモンスターはどのようにして誕生したのか。
「DVする男性をかなりリサーチして、その中で『この要素を入れたらいいんじゃない?』ということを話し合う中で、次第に固まっていきました。
直接暴力を振るったり、『生きる価値がない』みたいな暴言を吐いたりなどの一線は越えないように意識しました。そのラインを守りつつ、郁子を名前ではなく『きみ』と呼ぶようにしたり、靴下を脱ぎ散らかしたりなど、武にイライラしてもらえる要素をいくつも散りばめています」

Ⓒ「くすぶり女とすん止め女」製作委員会
また、当初の武は“髪テカ日焼け男”ではなかったらしく、原口さんは「昭和の価値観を曲げられず、服装に疎い男性をイメージしていました。ただ、“現代的な嫌な男性”にしたほうがキャッチーになると思い、PR会社に勤務していたり、イントネーションを間違えた横文字をたくさん使ったりといった設定にしています」とボツになった武の存在を語った。