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「農薬でがんに…」国政政党による“醜悪すぎるデマ”を農家が怒りの告発

参政党はなぜ「農家ヘイト」を?

 筆者は国政政党となる以前から参政党に興味を抱き、様々なイベントに潜入して観察してきた。そこで繰り広げられる主張から、「農薬デマ」や、農業従事者から「ヘイト」と受けとられるような発信をする事情が透けて見える。  参政党が柱とする政策の一つに「食と健康」があり、「農薬や肥料、化学薬品を使わない農業と漁業の推進と食品表示法の見直し」が掲げられている。  食事を変えれば健康になれるという「信仰」のような過剰な期待があり、党員の思想を強固にしたいのか極端な主張が目に付く。そこには、ネットにはびこる誤情報も含まれている。  たとえば2023年9月に都内で開催された政治資金パーティーでの一幕。  対談コーナーでゲストに招かれた参議院議員の須藤元気氏(無所属)が、農薬のラウンドアップ(米モンサント社が1970年代に開発した除草剤)を取り上げて「海外で禁止になっているものを日本は規制緩和してしまう」と述べ、神谷代表も「おかしい」と共感し、会場から大きな拍手が起こっていた。

支持者は“自然派”や“スピリチュアル好き”

スマホ これはネット上に根強く残る誤解の一つだ。  ラウンドアップに含まれるグリホサートに発がん性が認められるとされたのは過去のこと。近年の研究では各国の研究機関も人体に影響する可能性は低いとしている。事実として世界中で使用されており、日本で規制緩和されたから流通しているわけではない。  農薬や化学肥料が人体に影響を及ぼすのは、あらゆる物質や薬品がそうであるように、量による。野菜に残るようなごく微量が体内に蓄積するエビデンスはない。  むしろ研究が進んでいて、基準が定められて使われる分、よほどの凶悪な組織にデータを操られているとでも考えない限りは安全だと言って差し支えない。  もともと参政党は、あまり政治に関心を持っていなかった層を刺激して国政政党にまでなったと筆者はみている。支持者は、オーガニックにご執心の自然派や、思い込みが激しいスピリチュアル好きなどが多い。  そのような属性の人々が、食や医療や国防などの危機を煽る演説のYouTube動画などを見て、「自分たちが声を上げないと」と票田になったのだ。  声を上げるのは悪いことではないが、問題はそれが事実かどうか。以前も党幹部が「小麦を食べるとがんになる」などの根拠の薄い話を流して炎上した。そうした話すら鵜呑みにしがちな人たちが、タブーを知ったかのように勘違いし、事実無根の言説を広めてしまう。  今まさに、それらを指摘され、農業のプロの方々から「怒られ」が発生しまくっている状況なのだ。
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