「苦戦したのは運転だけではないんです。狭い駐車場に駐車しなければならないことも多々あって、
駐車に1時間近くかかってしまうことも日常茶飯事でした。自分自身が情けなくなります」

それでも同乗していた上司や先輩社員たちは近藤さんを責めることはせず、「みんな最初はそうだった。慣れだよ」と温かい目で見てくれるばかり。
近藤さんの転職における仕事のストレスは、メインの業務ではなく運転によって蓄積されていきました。
致命的な運転の苦手さが克服されないまま月日は流れ、ひとりで営業先に向かうことも次第に増えていきました。そこで、さらに大きな出来事が起こります。
「ある日、初めての営業先からの帰り道、間違って高速道路の入り口に入ってしまったんです。
高速道路なんて初めての運転で、『間違えただけなので出してください!』と料金所の係員に必死に訴えましたが、もちろんそれはできなくて。
高速道路をおりるまでのひと区間の運転でしたが、今でも忘れられない恐怖体験でした」
何とか抜け出したのは良いものの、次に待ち受けていたのは何車線もある御堂筋。ここでも車線変更に苦戦し、なかなか行きたい方向の側道に抜け出せない状況に。

「情けなくてどうしようもなくて、
涙が止まらなくなってしまいました。帰社をあきらめ道路わきに車を停め、上司に電話をかけて迎えに来てもらいました」
泣いている姿を見て、その時はじめて上司も近藤さんにとってどれだけ運転が辛かったのか理解してくれたようです。