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“らしく”ない日曜劇場が開幕、『凪のお暇』『妻、小学生になる。』脚本家が挑むオリジナルストーリーのカギとなるのは?

鍵は『リバーサルオーケストラ』との差別化?

天才マエストロが地方の楽団を指揮する。 この大枠だけを見ると、近年では田中圭・門脇麦がW主演を務めた『リバーサルオーケストラ』(2023)が浮かぶ。 リバーサルオーケストラ田中圭演じる天才マエストロ・常葉朝陽が、故郷の楽団を再建するため帰国する。とあるきっかけで、その楽団で演奏することになるのが、訳ありの元ヴァイオリニスト・谷岡初音(門脇麦)だ。 『リバーサルオーケストラ』は、最終的に朝陽と初音が結ばれる(ことを示唆して)終わり方のため、親子愛をテーマにした『さよならマエストロ』とは趣が異なるかもしれない。 しかし、「地方楽団を再建」「天才マエストロが帰国」「訳ありな過去を払拭」など似通う要素が点在しているため、日頃からドラマをウォッチしているファンから見ると既視感が拭えないのも事実だ。

5年前の事件がポイントに

『さよならマエストロ』が独自の魅力を打ち出していくには、5年前の事件をきっかけに仲違いした親子が、どういった過程で信頼を取り戻していくか、その流れを丁寧に描くことにあるのではないか。 家族が夏目俊平の元を去ってしまうきっかけとなった5年前の事件が、凡庸なものでないこと、かつ視聴者にとっても「これなら去っていっても仕方ない」と思える事件でないと、説得力が生まれない。 日曜劇場といえば、壮大な世界観で、時には生死を分かつようなドキドキハラハラさせる展開が見どころの、スケールの大きな物語が目立つ。 そんなラインナップのなかで、家族愛や、音楽の持つ素晴らしさを全面に打ち出している『さよならマエストロ』はどんな立ち位置に収まるだろう。初回は1月14日(日)放送だ。 <文/北村有>
北村有
葬儀業界を経て2018年からフリーランス。映画やドラマなどエンタメジャンルを中心に、コラムや取材記事を執筆。菅田将暉が好き。
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