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毎話号泣!離脱者の多いファンタジージャンルなのに、山田裕貴×永野芽郁の月9ドラマが注目される理由

あの世の案内人が二人いる理由

ここで気になるのは、あの世の案内人を名乗る人物が二人いることである。 雨に奇跡を授けるだけの役であれば、日下か千秋(松本若菜)、どちらかがいれば事足りるはず。『君ここ』はオリジナルストーリーのため、原作から今後の展開を予想する手が使えない。 おそらく、雨の前にあらわれた二人の案内人も“元人間”だったのではないか。 雨と太陽のように、どちらかが生死を分かつ事故に遭い、どちらかの五感と引き換えに生かされた。五感を失った人間は、死にながら生きているのと同じこと。奇跡の内容を他言できない、世界でたった二人だけになった日下と千秋は、現実世界ではなく“あの世の案内人”となって生きていくことにした。 仮に“あの世の案内人”となることが、失った雨の五感を取り戻す条件となるなら、太陽は間違いなく雨とともに案内人になることを選ぶだろう。

「五感が奪われていく」過程をどう描き切るか

案内人の条件を飲んだ雨は、これから一つずつ五感を奪われていくことになる。 1月15日に放送される第二話で描かれたのは、14日間かけて雨の「味覚」が奪われていく過程。 寝て起きたら味覚がなくなっている、といった即時性はなく、2週間かけてじわじわと削り取られていく設定が、ファンタジーでありながらなんともリアルだった。 案内人の一人・千秋には妙に人間味があり、雨に対し「ひとりで乗り越えられるほど五感を失うことは簡単ではないのだから、(太陽に)正直に話すべき」と助言している。このことからも、千秋が元人間なのではないかと推察できる。果たして雨は今後、奇跡の内容を太陽に告げるのだろうか。 完全に味覚がなくなってしまう前に、雨は太陽と思い出の味・マカロンを共有したり、食べ歩きに出かけたりする。そのなかで、彼女がパティシエになる夢を諦めざるを得なくなった“過去”と向き合うことになる。 大切な人の命を守るために五感を差し出している雨が、自身の過去と対峙する。自分の人生を見直す女性の姿はどこまでもリアルだが、少しずつ五感が消失していく描写はファンタジックに映るだろう。 そのバランスは、どこまで月9枠で成り立つのだろうか、今後の展開に期待したい。 <文/北村有>
北村有
葬儀業界を経て2018年からフリーランス。映画やドラマなどエンタメジャンルを中心に、コラムや取材記事を執筆。菅田将暉が好き。
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