岩本扮する北沢辰之助は、ボディガード。襲撃された弁護士・岸村里夏(白石麻衣)の身辺警護を担当する。
本作のボディガードは、塚本和江(松下由樹)が社長の民間会社所属だが、警視庁所属ならSPと呼ばれる。岡田准一がアクション俳優であることを決定的に証明した『SP 警視庁警備部警護課第四係』(フジテレビ、2007年)が懐かしい。
あるいは、ケヴィン・コスナーがレーガン大統領の元シークレットサービスを演じ、ディーヴァ、ホイットニー・ヒューストンの身代わりになる、ずばり『ボディガード』(1992年)。
翌年公開作には、クリント・イーストウッドがケネディ大統領の元シークレットサービスを演じた『ザ・シークレット・サービス』がある。今挙げた3作品の中では、岩本はイーストウッドに一番近いかもしれない。
イーストウッドこそ、物言わぬ佇まい俳優の世界代表みたいな存在。現在93歳なのに、まだ主演ははるし、監督も兼任する。
“第2のイーストウッド”とまでは言わないが、屈指の肉体派(同時に知性派でもある)アクションスターの系譜に岩本を日本代表として連ねてみたい気がするのだが。
2022年公開映画『モエカレはオレンジ色』では、とにかく正義感が強い消防士役を好演していた。同作は岩本にとって、映画単独初主演作。
『アイ・アム・冒険少年』(TBS)の企画「脱出島」で、強靭な肉体に裏打ちされた驚異の火起こし術もすごかったが、ボディガードにしろ消防士にしろ、どうも単独初主演作品では肉体派の職業を演じることが共通している。
相葉雅紀が平凡なサラリーマンからヒットマンに変身する『今日からヒットマン』(テレビ朝日、2023年)最終話では、ちょっとした友情出演で目配せ。
エレベーターで乗り合わせるのが、なんと警護中の北沢辰之助という、同局内ドラマだからこその垣根越えが清々しく感じられた。
いずれにしろ、どの役柄も無骨だけれど、ある瞬間には微笑んでもみせる。ギャップ萌え必至のキャラクターを見事にモノにしている岩本だが、『恋する警護24時』ではそんなキャラクター性がうまく解説されている。