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“第2のイーストウッド”の資質アリ!「肉体派で寡黙」な30歳俳優の存在感

表情で見せる配慮と信頼のおける人間性

 第3話。里夏が勤務する弁護士事務所内でのこと。彼女から離れず警護を続ける辰之助を横目に、里夏にやや恋愛マウントをとる戸口美央(岡本夏美)が会話をする場面。  どうやら美央は辰之助のことを狙っているらしい。的をしぼる彼女が彼のことをこう説明。 「クールで侍っぽい」  北沢辰之助というキャラクターを説明するにはひとまず十分だ。何せ岩本のあの佇まいが、ドラマ展開の都度、裏書されるうち、だんだん辰之助が確かに侍に見えてきた。美央がクッキーを渡しに行くと、辰之助の目が一瞬泳ぐ。  単に無骨ではないお茶目なところもいい。基本は無表情を貫く演技だから、セリフは多くはない。「考察系アクション・ラブコメディー」と銘打たれる通り、セリフ以外にも細かなヒントが張り巡らされている。  重要な小道具となるサバ缶を見て、つい思い出してしまった。玉置浩二が缶詰工場の工場長として奮闘する『コーチ』(フジテレビ、1996年)。  売れないサバ缶を売れるサバカレー缶へと変貌させるべく、試作を重ね、味見する場面の寡黙な玉置を岩本に重ねて見たくもなってしまう。  わずかな心の揺れをモノローグで説明しながらも、多用はせず、きちんと岩本の表情で変化を見せてくれる。  本作全体に張り巡らされた配慮を感じ取ると同時に、何とも信頼のおける岩本の人間性がにじむように思う。 <文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修 俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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