高給取りハイスペの中には人格者だっていますが、一方で、妻を見下してエラそうにするヤツも。昇太さんはまさに後者のタイプで、明子さんに、数々のひどい言葉を、ことあるごとに真顔で言ってくるそうです。
「俺は人より稼いでる」
「俺、時給いくらだと思ってるんだ?」
「俺は毎週末とか縛られるの無理なの」
「結婚ってもっと軽い感じで一緒にいるんだと思ってたけど、こんなはずじゃなかった。」
「お前って、子育てとか俺に頼ろうとしない女だと思ってた」
「なんにも出来ないお前も、子供っていう生きがい見つけられただけよかったじゃん?」
「俺の行動を制約したいなら離婚しよう。喧嘩するより子供のためにいいでしょ。ただ子供は俺がもらうわ」
昇太さんが初めて「離婚」の2文字を口に出したのは、産後わずか2ヶ月の頃でした。
「あまりの突拍子のない提案にびっくりしました。産後でやつれた私を見て嫌気がさしたのか、『全体的に生活リズムが俺と合わないし、合わせるつもりもないから、実家に帰ってくれていた方がマシ。俺に手伝わす気なら、期待されてもムダだよ』と言われたんです。
だから私は、意地でも『父親』の自覚を芽生えさせようと頑張ったんです。悔しくて…」
その甲斐があり、子供は可愛がるようには成長したそう。でも、明子さんが倒れたり、身動きがとれない事態になった時「絶対に手伝わない」という姿勢は変わりませんでした。
冒頭の、明子さんと娘がインフルエンザを発症した日も、夫は何一つ手伝う気配はありませんでした。帰宅して、「夕飯ができたら言って」と、部屋でYouTubeを見て待っている。「夕飯が出てくるのが当然だと思っている夫に、イライラがとまりませんでした」と明子さん。

その週末夜、昇太さんが飲みに外出した後、娘が嘔吐をしました。
「病院に連れて行くにも夫が不在で車が出せなくて、タクシー拾うにも私も熱があったのでフラフラで…。救急相談室に電話して対処法を何回か相談して、翌朝まで様子を見たんです。
明け方、飲みから帰宅して寝ていた夫を起こし、車を出してもらいました。娘は胃腸炎も併発していて、点滴を打って…それから2週間ほど通院したんですが、その間も家事を手伝うことは一切なくて、帰宅したら一人で映画を観てるんですよ」
そんなある日、昇太さんからメールが来ました。
「洗濯物もたまっているし、共有スペースくらいは居心地よく使えるようにできないの? 流し台も汚いし、冷蔵庫の食材も無駄になりそうなのがあるけど」
たまりかねた明子さんは、こう返信。
「病気の時ぐらい手伝ってくれたらどう? 洗濯物たまっているの、あなたの分なんだから」
すると、昇太さんからの返信は、「
じゃあ、俺の家事は一切やってくれなくていいので」と一言。
明子さんが何か反論すると、いつも
「じゃあいい」「じゃあ離婚」「じゃあいらない」という反応で、絶対に謝ったり折れたりしないのです。今までのエリート人生では、そんな態度ですんでいたのかもしれませんが…。